連載

2018年7月10日号

500tプレスで量産仕事を受注

アジアから人材確保、長時間稼働目指す
大永工業[プレス金型製造、プレス加工]
岐阜県大垣市

 プレス機がたてる重量感ある音が鳴りやまない。ロール状にした1m幅の鉄材が数多く並ぶ。鋼材を運ぶフォークリフト数台に行く手を阻まれ、工場になかなか入れなかった。忙しそうだ。
 金属プレス加工を主事業として、その金型設計・製作や後工程(スポット溶接、組立)なども行う大永工業(1869年設立、従業員約70人)。大垣市がつくった鉄工工業団地組合に入る11社の1社だ。設立して十数年後から製造する自動車用オートマチック・トランスミッションに組み込まれるオイル・ストレーナー(オイルに混じる各種くずを取り除く金属製フィルター装置)を月に15万~20万個製造する。長く月間35万個ほどつくってきたが、特殊繊維を使ったものへの代替が進み生産量は半減した。そこで弱電部品や住宅関連製品、マテハン製品なども製造し、自動車部品への依存度を減らしてきた。
 工場内の従業員にアジア人と思しき姿が目につく。
 「とにかく今は人が集まらず、派遣社員としてどうにか10人ほど採用した。高くつくが、しかたない。その半数は外国人です」
 両親の後を継いだ3代目社長の吉安洋徳さんはそう話す。リーマンショック前は中国人を多く雇ったが、国の制度改正で3年間雇えるようになったこともありフィリピン、タイ、スリランカなどから人材を得られるようになった。このほどベトナム人3人の採用を現地での面接を経て決めたが、契約後の6カ月間に日本語を勉強してもらい条件をクリアしてもらう必要がある。中小製造業の従業員の国際化が進んでいる。

■新規設備に2億円
 同社の最大のウリは加圧能力500トンのプレス機をもつこと。大垣市周辺でこのクラスのプレス機をもつ企業は数社という。しかも1m幅・厚み9ミリの材料が送れる装置付きだ。稼働させたのはリーマンショックの年の9月。「リーマンもあって最初はこれを使う仕事がぜんぜんなかった。でも新型自動車のプレス加工に有効とされ、1年もしないうちに量産仕事が入るようになった」と吉安社長。ただ、「ぜんぜん元が取れていない」と笑う。設備するのに本体の1億円、送り装置に4千万円、付帯設備に5千万円と計2億円近くかかったためだ。500トン能力ともなれば、天井を高くする必要があり、加工時にでる端材を下に落として排出するトンネルをつくる費用もかかった。
 量産プレス加工の価格は受注先が決めることが多く、単価が安くなりやすい。そのため現在は1直8時間+残業2時間程度で行っている加工を、徐々に24時間体制にもっていくことが課題だという。