オヤジの社会学

2018年7月10日号

2つのタイプ

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 ひと月にわたって開催されたサッカーのロシアW杯の決勝がいよいよ迫ってきた。
 テレビ観戦していて感じるのは、世界の国々がそれぞれにその国らしいチームを作り上げてW杯の勝負に挑んでいるということなのだが、一方ではそれらを類型的にとらえると大きく2つのグループに分けることができるのではないかとも思う。
 タイプ1は、それぞれのポジションで突出するスペシャリストを代表に選出し、ハイレベルな「個」の集合体から生まれる高い創造性を目指すチーム。これに対しタイプ2は、全体を見ることのできる選手、誰かが攻撃に出てスペースが空いたら、すぐにそこを埋めることをいとわない選手を重視して代表に召集しているチーム。もちろん、実際はどのチームもこの2つの要素を併せもっている。だが、見ているとその国がどちらにより重きを置いているのかが何となくわかる。
 ところで、会社の仕事の仕方にもタイプ1とタイプ2があるように思う。タイプ1は、各部署やセクション、個人のそれぞれの役割がはっきり分かれていて、自らの仕事に責任を負わねばならない反面、ほかの仕事は要求されない。ジョブ・ディスクリプションに職務内容や責任と権限が明確に示されている欧米型の企業に多い。最近、日本でもこんな会社が増えている。ドライな感じではあるけれど、自分の仕事が終わればさっさと帰れるので働きやすいという人もいるだろう。
 元来、日本の企業はタイプ2が多かったし、今でもきっと多いのだろう。ほかが忙しいのであれば自分の担当以外の仕事でも手伝ったり、逆に自分の仕事をほかの人にカバーしてもらったり、全体を調整しながら組織がチームとして働く。
 しかし、タイプ2の組織にはどこまでが自分の仕事なのかわからない、誰が責任者なのかわからない、他人の仕事に口出ししてトラブルになるなどの欠点があり、タイプ1にはセクショナリズムに陥って組織内の各部署と協力し合うことがなくなるといった欠点がある。
 サッカーも仕事もチームワークが重要であることは言うまでもないが、それはどちらかというとサッカーで言えば守備面、仕事で言えばリスク回避のためにチーム全体のシステムが重要なのであって、攻撃においてはゴールを決める、勝負を決める「個」の力がどうしても欠かせない。それは結果を出さねばならない仕事でも同じだ。
 全体を見渡せる広い視野を持ち、普段は組織プレーに忠実で、ほかの人のサポートにも回る。しかし、勝負どころとみればひとりで局面を突破できる高い個人技を持っている。サッカー日本代表も日本の企業もそんな人材を求めている。