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トップセールスの極意、語学よりも信頼されること

明治機械製作所 代表取締役 社長 廣田 貢 氏

 エアコンプレッサの国内市場が伸び悩んでいる。製造業の海外進出が進み、大手から協力会社まで使う人の数が減ったからだ。今年で創業90周年を迎える明治機械製作所(大阪市淀川区)の廣田貢社長は、「仕様の開発も重要な要素だが、最終的にはお客様が選ぶ話。接する営業社員のあり方を再度確認するときではないか」と語る。
 「働くのは何のためか」そう聞かれたとき、人によって色々な答えがあると思う。自分、会社、家族、社会…そこに「同僚」も入れてほしい。ビジネスという戦場で勝利するには、隣にいる仲間の協力なくしては語れないからだ。
 自分の仕事が与える影響を考えれば、ポカミスも減るし、生産性向上にもつながる。言葉にすれば当たり前のことながら、忙しさの中で忘れてしまう部分ではないだろうか。
  小さい頃から、私は「人の来ない家は栄えない」と言われて育ってきた。社長になってからの4年間、時間の許すかぎり業界関係者以外の人とも積極的に会うようにしている。自分自身も数十年営業を担当してきたが、飛び込み営業の人に会うと、ひた向きな姿勢に心打たれる。そのガッツを感じられるだけでも自分にとって価値があると思う。
 営業で最も重要な部分は、お客様のハートをつかむことではないか。別の言い方をすれば、自分をいかに売り込めるかである。もちろん製品知識も大切。海外との商談には担当社員への権限委譲も不可欠だ。
 ところが不思議なもので、語学が堪能な人でも相手に信用されていなければ、スプレーガンを百丁売ることはできても、千丁の注文をもらうことはできない。トップセールスの人が、転勤や転職後に結果を残せるのも信頼獲得術を身に付けているからだ。
 ともすれば、我々メーカーの営業は販売店様に製品を納めれば一区切りついたと思っている節がある。実はそこからが勝負。新しい業界に同行提案に行くことで、「そういうところにも使われるのか。俺も行ってみよう」と他の営業社員に新規開拓の範を示すことができ、販売店様との信頼関係も築くことができる。
 どうやったらお客様に信じてもらえるのか。それは、ひたすら会いに行くことである。足を運び、「困ったことはないですか」と聞くことだ。泥臭い地味な方法。ときには便利屋のように夜中走り回ることもあるかもしれない。しかし、苦労と対応がトップセールスの極意と言っていい。

 当社も今年で創業90周年を迎えるが、100年に向けて大事なのは「人財」だと思っている。極端に言えば、お客様の中で「コンプレッサ=明治機械製作所」というイメージを持っていただくよりも、まず営業社員の顔が思い浮かぶような提案活動と人財育成を展開していきたい。