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製品とサービスで世界ブランドへ

ベトナムからASEANに根ざす

TONE 代表取締役社長 松村  昌造 氏

 ボルト締結の活躍するフィールドが広がっている。「TONE」の舞台も同じ。今年8月に就任した松村昌造社長は、製品とサービスの充実から、世界ブランドの確立を目指している。

 -創業100周年に向けて、新たなスタートをきりました。

  「直面する課題を一つずつ改善しているところです。昨年、75周年を機に、前田金属工業からTONEに社名変更しました。一人歩きしがちだった製品ブランドと統一化することで、国内外のお客様や販売店様により親しみを持って頂ける形になりました。今年4月には企業理念に基づいた『4つの約束』として、▽社員の幸せの実現▽社会への貢献▽顧客との約束▽株主との約束︱を制定し、企業としての責任を明確にしました。売上げなどの数字だけで存在感を示すのではなく、品質とサービスでお客様の期待に応えていきます」

 -来年6月には、ベトナム工場が稼動する予定ですが。

 「2012年に完成した大阪・河内長野工場に続く、新たな生産拠点として、ASEAN市場向け動力工具の組立・修理・検査を行います。手間のかかる作業のため、最終的に5年後には70~80名体制を整えるつもりですが、まずは少人数でトルク管理機器系を中心に生産します。一品対応の特殊仕様機は、引き続き河内長野工場が担当。人手の必要な一部標準品をベトナム工場で生産することで、現地市場に合った製品を実現します」

  「大事なのは、TONEらしい品質とサービスを維持することです。現在、ASEAN地域では、インフラ整備や工場建設が急速に進んでいます。そこには、必ずボルトと締結工具が存在します。近いうちに、ホームセンターやプロショップが立ち並び、トルク管理の高度化が要求される時代が来るのではないでしょうか。ベトナム工場では、生産だけでなく、販売店様に商品をPRできる情報発信拠点として、プレゼンルーム(展示室)を設ける予定です」

 -トルク管理では、航空機の組立に使われてきた電動工具を、一般産業向けに「フィードバック制御レンチ」として製品化しました。

 「設定したトルク値に達すると自動的に停止する特殊仕様機です。初動時のモーターの駆け上がりや、減速時の無駄な回転運動をなくしたことで、これまで課題だった確実な二度締めを可能にしました。ボルト折れの原因となる過剰な締付けを防ぐだけでなく、誰でも簡単に扱うことができます」

 「富士重工業様の実用テストを経て、正式採用された『リトルクレンチ』をベースにしました。航空機産業のようにシビアなトルク管理が求められる現場から、そこまでは必要とされない場所でも幅広く対応できます」

 -今後、求められる製品とは。

 「トルク管理と一口に言っても、締付け精度や作業スペースによって方法も変化します。電気、油圧、空圧などの動力工具は、手動のレンチに比べて人手や時間がいらない分、価格も割高。市場ニーズをカバーするためには、機能的にも、価格的にも幅広い選択肢が必要です。『ボルティング・ソリューション・カンパニー』としての当社の存在価値が問われるところ。ボルト締結に関わる部分でも、まだまだすべきことはたくさんあります」

 -接合技術も多様化しています。

 「軽量化に向けた『ボルトレス』の試みとして、部材同士のはめ込み技術などが注目されていますが、耐久性、作業性、コストの点で、ネジ締めによる接合は優位性があると思います。大きな流れとして、物流センターやショッピングモールなどに、少ない本数で構造強度を保てる高張力ボルトを使用するケースが増え、当社も対応機器の出荷量が年々増えている状況です」

  「2020年の東京オリンピック開催に向けた都市開発だけでなく、高速道路、橋梁、トンネルなど、老朽化したインフラの整備も進行中です。安全な未来へ、何ができるか。遠く先を見すえながら、お客様の現場で『どうですか』と問いかけられる気付きの思いを忘れず、粛々と100年に向けて歩みを進めていきます」