コラム

2014年10月25日号

 今さらではあるがマザーマシンとは言い得て妙な言葉だと思う。機械を産み出す母なるマシンとの意味合い。トンビがタカを産まないように、優れた機械技術は優れたマザーマシン=工作機械無くして世に出ることはなかった。歴史をみても、機械工業が発達した国なり地域には、必ず背に工作機械産業があった▼そのマザーマシンで、今も日本が、世界技術の頂点付近を一定割合で占めるというのは頼もしい。けれど、加工技術を身上としてきた工作機械の役割は特に近年、大きく変化している▼今回のJIMTOFでは最上位の技術テーマに「知能化」と「自動化」が上がった。数年前に予想できただろうか。「削り」・「加工」といった狭義の工作機能だけでは十分ニーズを満たせなくなっていることがわかる▼クルマに何十個ものECU(電子制御ユニット)搭載が欠かせなくなった現実と同期するように、工作機械もまた、電子系、センシング系、ロボット系、制御系等々の本来の領域外の技術が、以前に増して求められている。今ふうの「マザー」は、計算に強く、ITに長じ、スマートでなければならないということらしい▼こうなると畢竟、開発設計からビジネス戦略まで、工作機械メーカーは「幅と深さ」が要求される。資源を持たざる企業は置いていかれるか。学や異業種との協業でカバーするのか。知能化にしても欧米の先端からは一歩遅れているようだから、新たな決断、戦略、行動と新技術育成が待ったなしだ。