オヤジの社会学

2018年9月10日号

夏風邪を引く

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 珍しく夏風邪を引いてしまった。今夏は6月の梅雨明けをはじめ異例づくしで、暑く長い夏だった。西日本は豪雨の被害が大きくお見舞い申し上げたい。小生の住む地域では雨は比較的少なく2カ月もの間、ほぼかんかん照りだったのだが、盆明けに3日ほどそれまでの暑さが嘘のように涼しい日が出現した。
 長い夏で疲れたからだに涼しい風が心地よく、夕方ついうとうとっと2時間ほど昼寝した。これで風邪を引いた。
 「風邪を引く」の語源は中国にあるようで、風が運んできた邪気を身体に引き込むところからきているそうだ。たしかにあの時のあの風。あの風で風邪を引いたと思うのだ。
 最初に喉が痛くなった。熱が出るわけではないがなんとなくだるい。そして時折ひどく咳き込む。周囲で聞いてみるとこの夏風邪が結構流行っているらしい。重症化はしないがしつこく、長引くという。あれから3週間、ようやく脱した感がするものの、まだ小さな咳がしつこく残っている。感染力も強く、どうやら自分が感染元で風邪をうつしてしまったと思われる人間が何人かいて肩身が狭い。
 ○○は風邪を引かない、とはよくいうところである。いつもの生活ペースに微妙な狂いが生じた時に風邪は引きやすい。してみると、○○は周囲や環境に対してどこまでもマイペースな人ということか。
 だが、今回初めて知ったのだが、夏風邪は○○が引く、という格言もあるそうで、心境は複雑だ。風邪をうつしてしまったと思われる人間の顔をひとりひとり思い浮かべてみれば、たしかに…。
 「風邪を引く」は普段何気なく使っている言葉だが、この「引く」というところに妙があるように思うのだ。病気になる、病気にかかるとはいうが、病気を引くとはいわないし、風邪になる、風邪にかかるともあまりいわないだろう。
 風邪を引くの「引く」におみくじを引くとか、当たりを引くとか、はずれを引くとかの「引く」に近い感覚を覚える。風邪は病ではないともいわれる。風邪を引いて、普段の生活を見直し、健康の大切さを改めて思い知る。そのきっかけになるなら、風邪はまんざらはずれくじを引いただけではないかも知れない。

(2018年9月10日号掲載)