連載

2018年9月10日号

ロボットは次世代の工作機械となるか

中小企業への導入 加速へ

 加工装置内の多軸ロボットがバリ取り、研磨、溶接、組立だけでなく切削、研削までも高精度に行う。そんな近未来のモノづくりが現実みを帯びてきた。
 「ロボットは、次世代の工作機械へ」―。そう訴えるのは欧州スタイルのシステム・インテグレーター(SI)、アットロボティクス(東京都世田谷区)だ。欧州スタイルとは全体構想から携わりソフトもハードもつくることを指す。9月7日まで名古屋市で開かれた名古屋ロボデックスで同社が初めて披露したロボット加工システム「ロボミルMD10モデル」(参考出品)は、独KUKA製多軸ロボットを内蔵しNCデータ(Gコード)を利用してバリ取りができる。同社の竹中司社長(慶応義塾大および東京芸術大の大学院非常勤講師)はロボットティーチングの概念をなくしたかったと言う。
 「Gコードで動かせるのでマシニングセンタ(MC)などの工作機械でNCに慣れ親しんだユーザーにすぐに使っていただける。お持ちのノウハウが生かせる装置と言える」
 製品によりバラつきのあるバリの除去を自動化するのは難しいとされるが、MD10はワークの位置や面の角度を把握・補正するのにタッチプローブを、バリの位置・大きさを含めたワークの状態を見るのにレーザーセンサーを、凹凸のある面に対しても一定の力をかけるのに力覚センサーを備えるなどしてバリ取りを自動で行う。「技術を伝えるのは難しいから」(竹中社長)と加工しながらモニタリングして学習する機能も付けた。
 装置は11月1日からのJIMTOFのジェービーエムブースにも出品後、パッケージ化して発売を計画するが、それはもっと後だという。ユーザーが求めるロボットのサイズは様々で、ツール交換システムや各種センサーも多岐に及ぶ。「ミーリングやポリッシング、ウェルディング…などの複合加工要素を加えて多能工化したい。さらにMCなどと繋いでより効率的な生産ができる次世代工場設備を目指す」と竹中社長。引き合いは大手メーカー数社からあり、今年度中の納入を予定しているという。
 同じバリ取りでもアプローチの違う装置がある。バリ取り、バフ研磨を行う藤本工業(静岡県浜松市)が専用機メーカーの東洋鐵工所と協働して提案するのは、ファナックの多軸ロボットを内蔵し、アルミダイキャスト製品の1次バリ取りを行うロボットシステム「YAT−FS」。四輪・二輪車のエンジンブロックや船外機を年に280万個(重量2.3~35キロ)ほどを仕上げ加工する藤本工業の職人があらかじめティーチングして納めるもので、まさにバリ取り屋さんのバリ取りロボットシステムと言える。ユーザー企業でワークが変われば、藤本工業が新たにティーチングしてオプション的に加工データを提供することもできる。藤本武洋専務取締役は「当社でデータを作成して提供すれば、お客様の機械を止めることなくスムーズに生産の切り替えができる」とし、ニーズに応じて仕様を変え1千万円前後での販売を計画する。
 より手軽にロボットを普及させようとするのは、機器レンタルや3Dプリントサービスを行うオリックス・レンテック(東京都品川区)。昨年1月に東京・町田にロボットショールーム「Tokyo Robot Lab.」を開設し産業用ロボットなどのレンタル・販売に本腰を入れてきた。従来は自動化技術をもつ上場企業からの案件が多かったが、中小企業からの問い合わせが増えてきた。黒嵜隆二事業開発本部長は「ロボットに詳しくない中小企業様にも様々な提案ができるよう30社ほどのSIと提携を進めている」と言う。より導入しやすいようにと、部品への接着剤塗布やねじ締めを自動化できるスイスABB製双腕ロボットを組み込んだパッケージ2種を用意。この2年で800件ほどの引き合いがあり、このうちレンタルを中心に約350件で成約したという。

(写真)アットロボティクスが山善ブースで披露した「ロボミルMD10モデル」(写真はどちらも「第1回名古屋ロボデックス」から)

(2018年9月10日号)