連載

2018年10月10日号

高丸工業、ロボットSI専業として通訳果たす

「中小企業にロボットは使われるべき」

 幅25m、奥行き200mの工場に製作中のロボットシステムが20ほどあった。近くユーザーに納めるもので、いずれも実際の使用環境に近い形で動作確認をしている。地上と地下4mに及ぶシステムを納入するとなれば、さすがにこの工場内を掘るわけにはいかないので4㍍分かさ上げして疑似環境をつくってテストする徹底ぶりだ。
 「アームのたわみ、ホースの引っかかりまではシミュレーションでは見られないからね」
 年間50~60台のロボットを含むシステムを納入する高丸工業(兵庫県西宮市、社員27人)の2代目社長、高丸正氏はそう説明する。「ちょっとやり過ぎかもしれない。たった27人の会社が社内で設備するテスト用ロボットをここ兵庫と東京で計37台をもつ。こんなところはそうはないだろう」と笑う。
 同社が最も力を注ぐのは少量多品種生産の中小企業向け案件だ。ロボットを導入するのは主に大企業だと思いがちだが、「自動機で仕事をこなしてきたユーザーがロボット導入を決断するのは少量多品種生産に移るタイミング。つまりロボットは少量生産用に開発されたもので、中小ユーザーに向く」と高丸社長は言い切る。
 同社は1967年、兵庫県尼崎市に自動機製造会社として設立。重工、重電、鉄道、バス、造船分野などに自動機を納めてきたが、高丸氏が社長に就いた85年あたりからロボット関連事業を本格化。事業の拡大に伴い11年に西宮市に工場を移した。以前から併設する、インストラクターを育成するロボットテクニカルセンターも移し、毎週3回講習を行っている。
 経産省のロボット導入実証事業採択実績(15~17年度)で同社の実績は12件と最多に。東証1部上場の大手SIerがひしめくなかでだ。12件はすべて中小企業案件で、ロボット導入でイノベーションを起こそうと考える30、40代の経営者が大半を占めるという。

NC機普及期に重なる
 高丸社長は今のロボットブームを30年ほど前のNC工作機械の普及期に重ねる。NC機は大量生産に向き、汎用機は少量生産向きと言われたが、NC機は多くのユーザーに受け入れられた。「NC機が普及したのは1980~90年代。戦後立ち上がった多くの加工会社が30~40年経ち、1回目の代替りを迎えるタイミングだった」と説明する。それからさらに30年が経ち2回目の代替りを迎えているのが現在だ。先の採択実績にも符合し、ロボット導入の機運が高まっていることを裏づける。
 このような理由から高丸社長は、同社が幹事として参画する(一社)FA・ロボットシステムインテグレータ協会に中小企業をターゲットにすべきと訴えるがウケは悪い。メンバーから「中小向け案件は売上の1~5%に過ぎない」と言われることもあるという。だが信念は揺るがない。
 「中小企業のモノづくりは経験則によるところが多く、数字化がされないためにロボットメーカーのエンジニアと会話が成立しない。だが今後、労働力不足に対応しようとロボット利活用を本気で進めるのなら中小製造業のロボット化は不可欠であり、そのためには同じ中小企業のSIerがロボットメーカーと導入企業の通訳を果たさねばならない」