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航空宇宙参入をバックアップ

官民議論からマッチングへ

O 航空宇宙産業の新規参入に向けて、行政のバックアップが強まっている。受注が決まれば息の長いビジネス。立ちはだかる大きな壁に、官民共同で風穴を開けようとしている。

■三重県、来年方針策定  
 今年2月、三菱重工業松阪工場が国産小型旅客機「MRJ」の尾翼組立と小物部品製造を担当する計画が発表された。地元・三重県は、国が定める国際戦略特区(アジアNo.1航空宇宙産業クラスター形成特区)に県内10社が指定されていることも手伝って、新たな柱として航空宇宙産業に期待を寄せる。
 県が当面目標としているのは、短期、中長期的に取り組むべきビジョンの策定だ。8月末には名古屋大学大学院の佐宗章弘教授(航空宇宙工学専攻)を座長に、産官学による研究会を発足。産業界からは、住友電装、三菱重工業、NTNなど、航空宇宙産業に関連する企業10社が委員に名を連ねる。
 10月29日に津市内で開かれた第2回研究会では、人材育成、参入促進、事業環境整備をテーマに討議が交わされた。海外で通用する人材に「専門知識と語学は必須」との意見で一致したものの、課題として海外研修に長期間送り出せる経済力、帰国後の継続性が上がった。 実務に関して、航空機の組立・分解修理・製品検査に携わる大起産業の内藤茂範社長は「海外企業と直接取引がなくても、いざ監査に来たときに『どのような機密管理をしているのか』片言でも伝えられるくらいの語学力が必要」と話した。
 参入促進について、出席者から「縦割りで中々入り込めない業界。航空宇宙産業のマッチングに特化した機会を作ってほしい」といった要望が上がったほか、保有する技術だけでなく、認証・生産設備・検査器具の有無がビジネスに結びつく要因になっているとの現状を語る委員もいた。 加工方法、新素材の導入に関して、三菱重工業の岡部和久副室長(交通・輸送ドメイン生産統括室)は、「航空機メーカーが求める要求レベルに達しているか、評価できる企業や公的機関が限られている」と指摘し、県・地域単位で検査機器を整備する必要性を語った。
 県では、来年2月をめどにビジョンを発表する計画で、雇用経済部の廣田恵子部長は「期待されている分、その役割は大きい」と話した。

■ティア1   調達ニーズ公開
 航空宇宙産業で中小企業に求められる要素とは何か。近畿経済産業局が10月末に「国内ビジネスマッチング」と称して、ホームページに、川崎重工業、住友精密工業、島津製作所、新明和工業の調達ニーズを掲載した。
 共通項は、島津製作所以外がJISQ9100(航空宇宙品質マネジメントシステム)取得を条件に上げていること。もう一つは、決められた形状、材質、サイズを削れるだけでなく、5軸マシニングセンタ、立型研削盤、三次元測定器、CADソフト(CATIA)などの保有設備について指定していることだ。
 測定に関する具体的な要望も多く、「加工品の寸法、表面粗さの測定(品質保証)等が可能であること」(住友精密工業/中物機械加工部品)、「完成外注品として発注する場合、非破壊検査は必須」(川崎重工業/板金部品)などの記載が見られた。川崎重工業の場合、請け負った担当部分について、検査・品質保証だけでなく、不具合が発生した際に原因究明と是正対策の徹底ができる体制を希望している。

 近畿経済産業局は、11月21日(必着)まで提案申込書と主要設備一覧を受け付けた後、12月上旬から中旬かけて個別商談の可否を連絡する。