PICK UP 今号の企画

検証JIMTOF2018

22457
―今号(11月25日号)の紙面特集より、ここでは検証JIMTOF2018を掲載―。
 過去最大規模で11月1日~6日まで開催された「第29回日本国際工作機械見本市(JIMTOF2018)」。工作機械受注の史上最高額更新が見込まれる中、期間中の来場者数は15・3万人と、こちらも過去最高を更新する盛りあがりをみせた。日本の工作機械メーカーにとってJIMTOFは新製品・コンセプトを披露する最も大きなステージ。今回の中身はどうだったのか、主に8つの視点で振り返ってみた。

検証1:IoT・AI活用の進化、日工会がアクションプラン発表

22459

マーポスでは全自動で加工工程の
モニタリングができる「GENIORMODULAR」を出品。
FIELDsystemのアプリとしても開発中

 工作機械同士が「つながる」ことは、もはや当たり前になりつつある。今回のJIMTOFで主催の(一社)日本工作機械工業会は会員企業72社300台以上の展示機を接続し、稼働状態を「見える化」した。
 「AI活用はまだ道半ばだが、時代は既に知識駆動型からデータ駆動型に変化している。山積する課題を一つひとつ解消して、個社の『競争領域』を強化する段階に移り、つなげた先に何ができるのかの提案を活性化させたい」
 会期初日のオープニングディスカッションで日工会の飯村幸生会長(東芝機械会長)はこう話した。同時に技術委員会の稲葉善治会長(ファナック会長)は、「Connected Industriesへの日工会のアクションプラン」と今後の課題を示した(図表参照)。「どの部分で『協調』し、何を『競争』するのかは、まだ分析や分類が必要」(稲葉会長)とするが、日工会としての方向が明示されたことで動きが加速しそうだ。
 接続の課題解消策は、今回展でも数々示された。メーカーごとに林立するIoTプラットフォームについては、IVI主導で連携プロジェクトが進展中。通信プラグを持たないビンテージの機械の稼働監視については、ソフィックスがNC画面の画像をデータ化してネットワークに上げられる製品を展示した。10万円から導入できる加工機等のデータ収集サービスを提案した旭鉄工では「約180社で導入実績があり8割が中小。その半数でデータ分析などカイゼン提案を行っており生産改善効果を大いに実感してもらっている」(木村哲也社長)。また、シチズンマシナリーでは「つながなくてもIoT」という挑戦的なアピールも。オフラインで機械と接続するデータ収集キットで収集した1カ月のデータを基に改善レポートを提案するというもの。営業本部の柳平茂夫副本部長は「『つないで何ができるのか』の疑問にまず応え、IoTサービス加入を促進したい」という。
 複数加工機をネットワーク上につなぐ各社のIoTプラットフォームでは稼働監視はもちろん遠隔保守サポート、加工時間予測など具体メニューを提示。ファナックの「FIELDsystem」では、開発中も含めてアプリが28種類に増えた。うち19種はパートナー企業が開発したもの。マーポスでは、工具の突発的な折損や摩耗を検知できる加工プロセスモニタリングシステムのアプリを開発中で、「フィールドシステムに接続することで、ビッグデータ解析が加速する」と見込む。

■データ駆動時代の明暗
 各社の「競争領域」である加工機本体の知能化やAI活用も大きく進化した。どのデータをとり、データをどう読み取るか。どのデータをどんなAIや機械学習モデルで解析すれば生産性向上を導き出せるのか―各社が蓄積した知見を活かすデジタルカイゼンの提案が様々見られた。
 AIを用いた熱変位補正機能は複数社が実用化しており、もはやメジャーな機能に。AI活用で先行したファナックでは自社加工機の性能向上や予防保全に向けた10のAI機能を公開している。
 オークマでは、AIを用いて工具の摩耗状態をリアルタイムに診断し、工具の損傷防止や使いきりを提案。そのほかにも、送り軸と主軸軸受の状態をAIで診断する機能もみせた。碌々産業では、クラウド上に蓄積した微細加工機の機体変化と加工条件をAIで診断し、良品ができる「しきい値」を自動で導ける「AIマシンドクター」を発売した。
 こうした機能が進化した先には、AIが加工条件を分析してプログラムや加工スケジュールまで自動作成し、加工機に指令を行う完全自律化したスマート工場の姿もおぼろげに見えてくる。
 ただ、そうしたネットワークでつながったスマート工場の実現には、まだまだ課題が多い。喫緊の対応が迫られるのは、工作機械のセキュリティ対策だ。ICS研究所の村上正志社長は併催のソフトウェアワークショップで「制御機器に侵入して不正に操作する『マルウェア』をアンチウィルスソフトで捕捉できる確率は13年で8割だったが、18年には3割以下に低下した」とサイバー攻撃の激化を指摘する。
 「産業別にセキュリティガイドラインが発表されており、IEC規格(IEC62443)ではセキュリティレベル別のリスクアセスメントも定めた。工作機械やソフトでも顧客が要求するレベルに応じた対策が不可欠だ。納入したマシンがサイバー攻撃の標的にされた場合、顧客の製造ラインを止めてしまう危険性もあり訴訟対象にもなる」と対策の必要性を強調した。

検証2:熟練技能の機械化、計測やAI活用が高度に

22461

岡本工作機械製作所「SELF」では
段付きワークの研削も全自動化

 これまで「熟練者でなければできない」と言われていた高度な判断や加工が次々に、機械に置き換わりつつある。
 岡本工作機械製作所では、全自動研削システム「SELF」(オプション価格約400万円)を披露した。2年前の前回展で披露した「MUJIN」は平面ワークのみの対応だったが、SELFでは10個のセンサーを搭載し、AI適応制御などを駆使して凹凸や段差のあるワークも全自動で研削できるようになった。
 人の操作は削りたい量をテンキーで入力し、サイクルタイム重視か面粗さ重視かを15段階のパラメータで選ぶだけ。砥石の成形や加工後の計測、追い込み加工も自動で行う。新たに、研削時の熱や振動も見える化した。
 技術開発本部の伊藤暁本部長は「熟練者が体得している加工アプローチを聞き込み、ハードウェアに落とし込んだ自信作だが、進化はまだ途上」と言う。ユーザー環境に応じた熱変位補正に加え、次回JIMTOFでは異形状ワークの研削の自動化まで目指す。
 マシニングセンタ(MC)の分野で、度肝を抜かれたのはキタムラ機械。GコードレスでMCを動かせる「オートパーツプロデューサ」(オプション価格350万円から)を5軸MCに搭載し、注目を集めた。
 タッチパネル上の3Dデータで座標の取り合いを選択するだけで、AIが自動で加工段取り、工具、加工条件を選定して最適な加工プログラムを作成する。北村彰浩社長は「開発に10年、億単位の投資をかけた」と自信あり。精度はCADの公差に追従し、±1ミクロンにも対応、ワーク素材の差もクリアする。「ナノレベルの分解能を持つ光学式スケールを搭載し、自動ブレーキのようにリアルタイムの応答が可能。Gコードでプログラムを組む手間が省ける」(北村社長)。
 微細部品の量産加工でエポックを起こしそうなのが、入曽精密(埼玉県)が開発した全自動段取り替え装置「ORIGAMI」。DMG森精機の立形3軸MC「CMX600V」に搭載し、φ約7㍉のギア部品をサイクルタイム約5分で量産してみせた。1つ目の加工ステーションでワークの5面を切削。もう片方のステーションで加工した冶具でワークを上手く掴みかえ、再度芯だしせずに6面目の加工が完了する。コロコロと微細部品が量産されるシーンは圧巻だ。
 ワークを機上で自動撮影できるATC搭載型のビジョンツールも採用。「微細部品は一度取り外すと座標がずれ、再加工に相当の時間がかかる。そこが量産のネックで熟練技が要ったが、機上での冶具製作と計測でこの課題をクリアした」(入曽精密・微細切削加工研究所の内田研一氏)。

検証3:長時間無人加工、人と機械にロボットが接近

22462

単体機と同じように扱える
オークマの「ARMROID」

 人手不足の深刻化を受け、長時間の無人加工につなげる提案が数多くあった。中でも特に目立ったのがロボット活用策の進化だ。
 ファナックブース前面では緑の協働ロボットを搭載した自律走行型AGVが動き回り、人がメインの組立作業を支援するコンセプトをPR。稲葉清典専務(ロボット事業本部長)は「ロボット側が動いて作業すれば、ライン変更が要らない。人が中心の生産ラインにスモールステップで導入できる」と狙いを話す。同じくAGVにロボットを搭載して加工段取りを支援するコンセプト提案はDMG森精機や牧野フライス製作所などでも。「昼間は人と作業し、夜間はロボ中心で無人加工ができる」(牧野フライス製作所)。
 オークマは機械横に付き、機械操作と同じ感覚でロボット操作できる「STANDROID」(安川電機製5軸アームを使用)と、機械内部のアームが加工をサポートし単体機と同じように扱える「ARMROID」(自社開発4軸アーム)を披露した。「SIer不要。対話式のタッチパネルで操作できる」と言う。
 ヤマザキマザックでも多関節ロボットと旋盤を組み合わせた自動化セル「TA(ターンアシスト)」で、煩雑なティーチングを不要にしたと訴求。「搬送指示はCNC装置内の専用アプリにワークのサイズや形状などを入力するだけ」という。
 三菱電機でも、ワーク着脱などに使うロボットの制御をCNCからダイレクトに行える技術を披露した。また、同社のワイヤ放電加工の自動化システム(参考出品)でも、多関節ロボットを入れたワーク自動搬送装置を採用した。多関節ロボがワークの自動交換のみならず、中子の自動打ち抜きもこなして工程を止めない。加工のスケジューリングも行え、「加工機単体に比べ、2倍以上の生産性を上げられる」という。
 ソディックではマグネットで中子を吸着処理する装置「SCORE」(オプション)をワイヤ放電加工機に搭載。「精密ワークでも位置ズレせずに中子処理が自動化できる。精密順送プレス金型などに向く」(同社)。
 量産加工の無人化では、ガントリーローダーによるワークの着脱も進化している。滝澤鉄工所の平行2主軸CNC旋盤「TT︱1100G」ではローディング方式を一新。搬送エリアを加工室の上面から前面に変え、主軸の正面でローダーが待機できる構造にした。ローディング距離が大幅に短縮し、「ロード&アンロードに4・8秒要した動きを1・9秒に縮め、量産効果がかなり向上した」と言う。
 測定の自動化で気になったのは、ミツトヨのブースにあった参考出品のコーナー。説明する社員が、三次元測定機のテーブルの任意の位置に、任意のワークを置くと、なんとマシンは自動測定をはじめたからビックリ。種明かしはこうだ。
高精度センサーがワークの位置と形状を把握し、別途蓄積していた3次元モデル(CAD)のなかから、当該ワークのCADを確定。CAD図とワークを比較しながら測定を行うというもの。この自動測定工程では、3次元CADの公差情報を読み取るソフトウェアが、素早く最短経路の測定プログラムを作ることができる。

検証4:5軸加工の進化、重切削対応の強化や半自動化

22463

60HRCのギヤパンチ加工
(安田工業)

 ワンチャックで多面加工ができ、複雑形状も高精度に加工できる5軸マシニングセンタ(MC)。国内ではレンズ金型のほか、半導体、医療、航空機分野など1個流しでトレーサビリティが必要な仕事が増え、5軸機のニーズが益々拡大してきた。
 安田工業は5軸加工の高精度化と重切削を追求する。出品した立形5軸MC「YMC650+RT20」(DDロータリーテーブル付き)にHSKーE40スピンドル(トルク4・0および5・4Nm)を付けた。従来の同32スピンドルに比べ「重切削能力が2倍ほど高まり、1時間48分を要した60HRCのギヤパンチ加工が1時間30分と16%短縮できた」と話す。微細加工に向くほかホルダが大きくなったことで扱える刃物も拡大した。
 三井精機工業では航空機分野で実績ある5軸立形MC「Vertex」の新機種「Vertex100X」を出品した。機器幅3㍍、奥行き4・3㍍のコンパクトボディながら最大でφ1250㍉㍍×高さ850㍉㍍のワークが積載可能。主軸はシリーズ初の50番テーパ・毎分1万2000回転仕様で、より長い工具長や重切削への対応が増した。ベッドは完全熱対称構造を採用した上に、標準で2軸の熱変位を補正するセンサを搭載して加工精度を担保。「ブリスクなど航空機部品の大型化、高精度化ニーズに応えられる」(同社)。
 東芝機械では光学金型分野で好評の超精密立形同時5軸MC「UVMシリーズ」をマイナーチェンジ。従来はPC操作だったオペレータ支援機能をNC画面に統合し、使い勝手を高めた。同機能は、加工で摩耗する部分のRのみをピンポイントで測定して工具寿命を管理するなど判別手法がきめ細かく、事前の設定次第で自動判別や追加工の自動化も可能になる。ブースでは磨きレスで表面粗さ14ナノのピカピカ鏡面に仕上げたマトリックス型LEDリフレクタ金型を展示し、「全ての面が同じ仕上がり、ムラがない」(ナノ加工事業部の天野啓部長)と自信を見せた。

検証5:AM (Additive Manufacturing)、大型化と薄膜化でビジネスも拡大

22464

松浦機械製作所が並べた
大型積層造形物

「ここまで大きなモノがつくれる」と松浦機械製作所はAM(付加製造)機で積層造形した大型ワークを多数並べた。「LUMEX Avance-60」による造形サイズはW600D600H500㍉とパウダーベッド式の金属3Dプリンターで世界最大。この分野で先行した同社技術本部の緑川哲史シニアマネージャーは「大型ワークが必要とされる航空機分野を狙う」と話す。同社はAM機をこれまでにざっと80台出荷。このうち国内出荷が約60台を占めるが、近年は重切削できることに発展性を見出す欧州ユーザーが半分を占めるようになり、海外の開拓にも力を入れる。
 同じくパウダーベット式のAM機を展開するソディックは「ユーザーのレベルが上がった。夢ではなく実現可能な積層形状について質問や提案を頂ける」と手応えを話す。今回展を機に、エントリーモデルの「LPM325」を発売。仕上げまでのフル加工ではなく、造形と二次加工用の基準面加工に機能を絞り、売価を3700万円に抑えた。年間販売目標は50台。ヒューム回収の最適化などで加工速度も向上した。
 パウダーベッド、レーザメタルデポジション(LMD)の両方式を揃えるDMG森精機は、それぞれ年間受注約50台、30台を獲得するようになったという。金額にしてざっと60億円のビジネスだ。前者は航空機、エネルギー、鍛造金型の修理向け、後者は医療や精密部品向けと使い分ける。

■100ミクロンの薄膜
 AMの技術革新を感じさせたのは、大阪大学接合科学研究所の塚本雅裕教授らがSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)で開発した「非モルテンプールレーザーコーティング技術」だ。 従来のLMDは高出力のレーザー光で生じた溶融池(モルテンプール)に粉末を多量投入して厚膜を形成するが、塚本教授はこの常識を覆した。
 技術のコアとなるのは直噴型マルチビーム加工ヘッド。ヘッド中央から噴射された粉末を、滞空中から複数のレーザー光で直接加熱して溶融する。被膜の厚さは約100ミクロンと極薄で、基材への溶け込みの少ない高精度のコーティングが実現する。
 レーザー出力は6本の合計で300Wと従来のLMDの10分の1以下。熱ひずみも極小に抑えられ、精密金型のエッジやドリル刃先の修復に使える。3DCADデータから加工パスを自動生成する「LUNA」(ジェービーエム)で、高精度の造形が可能という。
 このヘッドを搭載した加工機「ALPION」を村谷製作所(金沢市)等と共同開発し、JIMTOFにも出品した(ジェービーエム小間内)。来年4月に発売予定。コーティングのみに機能を絞り、価格は2700万円に抑えた。
 また、同研究では日亜化学工業の協力を得て青色半導体レーザーの活用にも取り組み、ヤマザキマザックのハイブリッド加工機「VARIAXIS j-600/5X AM」(参考出品)に搭載した。近赤外線レーザーでは困難だった純銅や金などの難加工材料について、溶接・積層・異種接合を可能にするという。塚本教授は「異種金属を高密度に接合できるので、半導体デバイスなどのシールド加工にも有効」と話す。

検証6:歯車加工、1台に集約し位相合わせが容易に

22466

段取り替えなしで補正追加工、
ほかの加工部位との位相合わせも
可能にした(ヤマザキマザック)

 数台に分けて加工していた「歯車」を1台に集約しようとの動きが加速している。
 「ギヤ加工で精度保証した機種は初めて」と話すのは、ヤマザキマザックの中西正純営業本部長。複合加工機「INTEGREX i―200S AG」は、スカイビング、ミーリング、ホブ、バリ取りに対応できるだけでなく、機上計測も可能にした。
 歯車の位相や歯面を計測した後、段取り替えなしで補正追加工ができるだけでなく、ほかの加工部位との位相も合わせられる。「小ロットで大きなギヤに対応する三次元測定機は少ないし、機械を渡り歩くと芯出しが難しい。一段取りでやるのがベストだ」。
 オークマは歯切・焼入・三次元測定などの工程を1台に完全集約した複合加工機だけでなく、グローバル戦略機として位置づけている1サドルCNC旋盤シリーズからも量産ギヤの工程集約を働きかける提案があった。強力ミーリングを売りにする新製品「GENOS L3000」がそう。内径ホブ加工(最大ワークサイズ=モジュール2・5)と外径スカイビング(モジュール2)に対応する。
 ジェイテクトは、ギヤスカイビングセンタの新機種「GS200H」で量産ラインに適したコンパクトサイズ化を実現した。設置スペースは従来比44%に削減。剛性は2倍に高めた。
 「(通常は剛性が落ちる)片持ちでのホブ加工でも、ホブ盤と同等の加工能力を発揮。外歯の歯形誤差は従来のホブ盤の約半分へと加工精度も向上した」。複合ギヤの内歯加工ではセンサで歯と工具の位相を検知し、面取りなども高品位に行える。
 カシフジはギヤスカイビング盤「KPS201型」で、オートーローダー、ATC、位相合わせ装置の搭載で長時間自動運転にも対応できる点をアピールした。村田機械は前回展に続いてスカイビング加工機を参考出品。現時点では粗加工に留まっているそうだが、「2020年を目標に『研削レス』な機種として発売する予定」という。

検証7:大型加工機、既成概念破り存在感じわり

22467
 鏡面仕上げ性に優れ、新プラスチック金型材として注目されるH社製プリハードン鋼(HRC40相当)。この素材は削りが難しく「使いたいが、厄介と感じるユーザーが多い」とされるが、倉敷機械は横形マシニングセンタ(KZM︱14R)でこの金型材を素早く深彫りできるとアピール。同社得意の横中ぐり盤ではなく、MCの新機種で技術をみせつけた点に意外性も感じられた。
 DMG森精機は、門形ではなく、スピードと精度を上げるべく立形仕様に作り込んだ大型5軸MC(DMU340Gantryと同200)を国内初披露。門形以上の重量物に対応でき、ガントリ構造の為、省スペースも実現した。
 このように、従来の常識にとらわれない大型機が目に止った。オークマは、新機種の5面加工門形MC(MCR︱S SUPER)を「加工に対する要求レベルが年々上がっている」という自動車用プレス金型加工分野に訴求。クラス最速の連続切削送りを実現したほか、CAMが生成した加工データの乱れを、NC上で補正する。
 東芝機械は新モデルの横形MC(BM︱1000Q)とターニングセンタ(TMD︱13C)が目玉。横形MCは、同社マシンで定評の高剛性と高速性をさらに進化させた。ターニングセンタは、ここ業界で見直し機運にある超高圧クーラントに対応する構造とした。
 三菱重工工作機械は、金型加工用として機械構造や制御を抜本的に見直した大型高精度加工機(MVR・Fx)。高剛性シンメトリカル構造と、外気温の変化の影響を抑制するサーモスタビライザを採用するなどし、加工時の熱変位や動作補正をサーボモーター調整に依存することなく、高精度かつ高品位に加工を仕上げる。
 新日本工機はX軸リニアモータ駆動の門形高速形状加工機(DC︱5SL)(=写真)がメイン。ラジアスカッターによる荒取りから、工具交換後の仕上げや隅取加工まで、工具長のチェック工程なども含め、サイクルタイムがいかに短いかを実演を通じ検証的に伝えた。
 大型機は、好調な工作機械産業の中でしばらく出遅れ感があったが、最近は順調と各社口を揃える。非公式ながら「春過ぎから上がっている。建設機械向けの引き合いが多い」(O社)などが聞かれ、存在感を高めている。

検証8:切削工具、高送りと低負荷で攻める

22468

2枚刃並みの抵抗を可能にした
オーエスジーの3枚刃油穴付き超硬ドリル
「ADO-TRS」

 「マーケットトレンドは低電力の高速マシン。さらに生産性を上げるためには刃数を多くする必要がある」。来日したワルターのミーリング担当役員はそう話した。そこで展示したのが肩削りカッター「Xtra―tec XT」だ。6枚刃が限界だったという直径63㍉タイプで7枚刃に挑戦。従来品比で、チップとボディの接触面を34%、ボディのメタル含有量を40%上げたことで、安定性と剛性を高めた。
 オーエスジーは、3枚刃で2枚刃に匹敵する低抵抗を可能にした油穴付き超硬ドリル「ADO―TRS」で関心を集めた。他社品に比べてスラスト抵抗を30%以上低減。「負荷が大きければ、クランプがしにくい複雑形状のワーク、主軸30番の小型機械では、加工中の振動が精度に影響を与える」と説明したうえで、リーマレス、高送りが可能な点も説明した。
 住友電気工業が焼入鋼ハイフィード加工として示した送り量は1回転あたり1~1・2㍉㍍。従来条件の約6倍に相当することから「驚異的な高送り」と打ち出した。チップ、専用ホルダともに受注生産ながら、説明したスタッフは「カスタマイズで対応していく。反響次第ではレパートリーが増えていくかも」と期待する。
 三菱マテリアルはタービンハウジング加工専用インサート「MH515」を出品した。熱が逃げにくく、粘りが強いSCH12相当の耐熱鋼の加工テストでは、他社製品に比べて2倍の長寿命化を実現したという。
 銅合金の加工に特化したのは日進工具。バリの発生を大幅に低減できる特殊刃形状を採用した「銅電極加工用エンドミルシリーズ」のスクエアタイプは、銅電極ワークの加工比較で従来工具の約4倍の工具寿命を実現できることを示した。
 山田マシンツールは工程集約につながるツールを提案した。多角形穴を加工するブローチツールは、加工時の抵抗を分散する構造を持ち、旋盤やマシニングセンタで使用できる。溝形状の加工をするスロッティングツールは特殊合金のインサートを採用。「専用機が必要だった工程を切削加工機に集約可能」(山田庸二常務)という。