連載

2018年11月25日号

三明機工、中小にも導入しやすい「3レス制御」

IoT、自動化の定番メニューに

 鋳物のバリを垂直多関節ロボットが滑らかに研磨していく。人の主な操作は、削りたい部位の始点と終点を指示するだけ。ロボットSIerとして約40年の歴史を持つ三明機工(静岡市)が日本ダイカスト会議・展示会に出品した「グラインダーシステム」(13面に詳細)は、「完全ティーチングレス、PLCレス、センサレスの『3レス制御』が開発テーマ。高齢化が進み、新規採用も困難な重労働のバリ取り作業をロボットに置き換えたい」。久保田和雄社長の狙いは明快だ。
 ティーチングレスと言えばソフトウェア企業の独壇場と思われがちだが、久保田社長は「必要に迫られて自前でソフトも開発した」とサラリとかわす。汎用性が高く安価なカメラも用いて価格を抑え、中小への導入ハードルを下げた。
 「高価なカメラとAIを使って『ティーチングレス』をうたうピッキングロボットシステムは大変素晴らしく我々も扱っていますが、まだまだ導入後に調整し続けなければならない専用機のレベルで非常に高価。導入は大手中心でしょう」。価格と制御の厳しさ―現場のリアルな悩みが「3レス制御」の自社開発に向かわせた。
 同社ではこれまでにも画像処理・電機制御・ロボットの技術力を結集した他に無い自動化システムを開発してきた。砂型の中子の複雑なバリ取りや中子挿入の全自動化など鋳造周りはもちろん、ベアリングボールの製品検査と追加工など専用システムの実績も豊富だ。
 しかし、「ソフトウェア技術者、特に画像処理やIoT・AI関連の技術者をもっと多く採用しなければ」。久保田社長は眉間にしわを寄せ、育成の必要性に熱弁を奮う。
 「IoTやAIの活用では日本は世界で最も遅れている。自動化システムと合わせて、生産管理や機械・ロボットの遠隔保守、製品の品質管理など第4次産業革命のキーデバイスも顧客にメニュー提案できるようにしたい」
対等の力持つ組織に
 久保田社長は(一社)日本ロボット工業会内の特定事業委員会として今年7月に発足した「FA・ロボットシステムインテグレータ協会」(Sier協会)の会長を務めるが、実はタイでもロボット化推進の立役者として知られる人物だ。
 11年に自社のタイ現地拠点設立後、日系自動車・部品メーカーのダイカスト加工周辺の自動化ニーズを聞き取り、「タイ人のロボットエンジニアを育てよう」とタイ工業省に直に話を持ち掛けたという行動派。13年に設立調印式を行ったロボットアカデミー(タイ工業省管轄の職業訓練短期大学校TGI内)の卒業生はすでに300人以上になる。
 日タイのSIer団体間の交流も企画中。「IoTの活用では、もうタイのほうが先に進んでいますよ。現状を、直に見て肌で違いを感じなければ」と語気を強めた。
 「欧州のSIerはIoTの活用を含め生産ライン全体の改善提案ができ、ロボットメーカーと対等以上の発言力があるが、日本はそうじゃない。ロボットメーカーの傘下で仕事をしてきた専用機メーカー発祥の小規模SIerが大半で、IoTもメーカー頼みです。そこを、SIer協会の力で崩していきたい。ロボットメーカーの技術部門と一緒になってどんな機能や制度が必要かを対等な立場で懇談でき、時にはSIer側の要望を通せるような組織に成長せねば」
 SIer協会の会員数は9月末時点で171社。当初の目標であった200社の達成も目前に近づいている。