連載

2018年12月10日号

さがみはらロボットビジネス協議会、連携深める中小SIer

新市場「協業」で切り拓く

 東京から至近かつ、強固な地盤の平坦地が広がる相模原一帯。1930年以降は、畑作中心の農村から「軍都」へと変貌を遂げた。戦後は首都圏有数のベッドタウンとして人口72万人を抱える政令指定都市に成長したが、軍需に端を発する日本有数の「ものづくりの町」としての側面もあわせ持っている。
 2014年に発足した「さがみはらロボットビジネス協議会」は、相模原市内のロボット関連技術に取り組む32社が加盟。中小企業のPRから受発注、企業連携の機会創出に繋げている。その中のロボットSIer3社が協業、製作した清掃ロボットの実証実験が、12月4日に相模湖プレジャーフォレストで行われた。
 清掃ロボットの電子部分はキャロットシステムズ(西澤勇司社長)が、機械部分はF︱Design(藤本恵介社長)が、プログラミングはクフウシヤ(大西威一郎社長)が受け持った。プロジェクト立ち上げから1年弱という短期間での成果に、西澤社長は「自社だけでは出来ないことを、協業によってスピード感を持って実現できた」と語る。
 実証実験では、レストラン内の床清掃を行うデモンストレーションを披露。メインプログラムを担当したのは元自衛官で警戒管制を担当していた、という異色の経歴を持つクフウシヤの後藤真一さん。「ありあわせのもので作ったので、今後ブラッシュアップが必要」と謙遜するが、「大手メーカーに負けない仕様に加え、コストメリットも追求していきたい」と力を込める。
 同じSIerとしての立場での協業について、異口同音ながら3社とも「ライバルというよりは、ないものをお互いに補完しあう関係。お隣さんに頼みごとをするような感覚」と語るよう、相模原では中小企業同士での連携が「当たり前」という風土が醸成されている。

■地域による支援体制の充実
 さらに、自治体や商工会議所等の手厚いバックアップによるビジネス環境の良さを挙げるのは、もともと相模原市産業振興財団の職員だった大西社長。様々な企業を支援してゆく中で、ものづくりに惹かれ自ら起業、「ベンチャーのスタートアップにこれ以上適した場所はなかなか無い」と語る。つい先日は、これまでは作業者十数人が目視で一日1万5千個の検品をこなしていた工場に外観検査システムを納入。ラインの無人化とヒューマンエラーの排除を実現するソリューションを提供している。
 起業家からさらなる成長を目指す企業まで、幅広くローコストでオフィス・ラボ空間を提供しているのが「さがみはら産業創造センター(SIC)」。藤本社長のF−Designも入居企業の一社である。「自動車メーカーで設計・開発を担当していた」という藤本社長。現在もF1マシンのブレーキ設計に携わるなど、メーカーからの信頼も厚い。だが、「自動車関連の仕事は売り上げの3~4割ほど。自動車産業だけではリスクが高い。最近は医療分野のAM設計にも力を入れている。SICの中には医療関連の企業も多数入居しているので、連携が取りやすい」とメリットを語る。
 3社がタッグを組むのは掃除ロボットだけではない。「人なら誰でも出来る簡単な作業をロボットに落とし込む」(藤本社長)として、多関節ロボットがマシニングセンタのドアを開閉、ワークのセッティング及び取り出し、さらには加工開始・終了のボタンを押すシステムを開発中。西澤社長は、「我々はファブレスだが、その分フットワークが軽く様々な案件に柔軟に対応できる」と胸を張る。

(写真=3社で共同開発した清掃ロボット)

(2018年12月10日号掲載)