コラム

2019年1月1日号

 世話になったパートナー企業の先輩は、仕事中に訪ねると、いつも「まあ座って」と気さくに応じてくれた。事前のアポが無くても、忙しくても「コーヒーでも飲もうや」とゆったり構えてみせ、親しみやすかった▼そういう、できた大人が以前は大勢いた。まあそんな調子だから、仕事ははかどらず、毎日の帰宅時間は遅くなるが、この先輩にしても、リーダーとして周囲から一目置かれていた▼正反対に思えたのは外資系に転職した別の知人の経験。席を空けた際にデスクの電話が鳴ったが、近くにいた同僚の女性は無視したそう▼「あなたとは部署が違う、私の仕事じゃないでしょ」が理由。当人は「転職早々、外資の洗礼を受けてしまった」と苦笑していたっけ。こちらはドラスチックなほどドライで合理的だ▼さて、今年から働き方改革法が順次施行されるが、狙いはブラック職場の一掃と同時に、時間当たり生産性を向上させることにある▼とすれば、くだんの外資に近い働き方が標準になっていくのか。ただ、よくよく考えておきたい▼改革に異を唱える気はないが、効率だけ追っても飛躍できないことはある。ゴルフじゃないが「溜め」を作ることはよほど大事で、「溜め」のこやしは雑談だったり、良好な人間関係づくりだったりする▼規則や制度を遵守する日本人は、それゆえ根本の「舵」が変わると大きく変わってしまうというが、改革のさなかで過去からの良さを失うわけにもいかない。