連載

2019年2月10日号

HCI、展示場使い情報発信

ケーブル製造メーカーならではのロボット

 ボビン(ケーブルを巻く筒)を交換するツールチェンジャー搭載ファナック製協働ロボットに記者が近づくと動きが鈍り、離れると再び稼動速度を増す。7軸制御の安川電機製ロボットはケーブルを切り出して外皮をむくと、もう1台のロボットがそれを受け取って端子をかしめる。川崎重工業の双腕スカラロボットは記者に温かいコーヒーを入れてくれた。
 こんなふうに国内5メーカーのロボットの動きを間近で見られるのは、泉大津商工会議所内にあるロボット&AIシステム導入支援ショールーム「HCI ROBOT CENTER」。ロボットSIerのHCI(大阪府泉大津市、社員40人)が昨秋開設したもので、ユーザーはここにある設備を使ってロボットの安全特別教育を受けることもできる。
 HCIは高価なラインで1億円ほどするケーブル・ワイヤー・チューブ・シート製造装置の製造とロボット導入を主事業とし、売上高の割合はおよそ7対3。本社・工場を含め泉大津市内に3つの工場をもつ。ロボットは1年ほどかけて納入する案件を中心に年間20~30システム(1システム5百万~5千万円程度)を納入する。把持しにくいケーブルなど柔軟物を扱う装置の構築が得意だ。
 産業機械メーカーに勤めていた奥山剛旭社長が2002年に独立してHCIを設立した。
 「子どもの頃から独立志向が強く、ロボットを扱う仕事がしたいという夢もあった」
 ケーブル製造装置の販売がリーマン・ショック時に大きく落ち込み、09年からロボットによる自動化機械の製造・販売を始めた。「これからはロボットの時代だと思っていたし、ケーブル製造装置で培った技術を生かすことができる」(奥山社長)と考えたからだ。
 ケーブル製造装置には撚(より)線機という何本ものケーブルを撚る機械が含まれる。04年に開発した装置は、直径25ミクロン(髪の3分の1ほど)の単線7本を高速で撚ることが可能だ。こうしたオンリーワンの技術をバックボーンに自動化システムを組む。

泉州で数少ないSIer
 同社のロボット事業は機械、電気、SEの3つのグループから構成され、SEではAI(人工知能)開発をアルゴリズム(演算を指示する規則)をつくるところから担うという。人口減少をカバーするとされるロボットを大量につくるのはメーカーだが、それだけでは普及しない。
 「ロボットを納めるのは個別対応する我々のようなロボットSIer。多くは中小企業だが、技術力だけでなく情報発信力や提案力がますます求められる」
 ロボットSIerは関東、中部に多いが、同社のある泉州地区ではほとんど見られない。そこで近畿経済産業局からの委託もあって開設したのがHCI ROBOT CENTERだ。法人を中心とした予約制だが、開設からの3カ月間で4百人ほどが訪れた。
 「センターのロボットの動きを見てもらい、自社での使用をイメージしてもらっている。その後、我々が現場視察し、有償で要素技術検証を行うことで何千万円もするシステムが失敗することがないようなプロセス導入を採用している」

(写真=ロボットシステムの開発・製造を担うデザインオフィス・板原工場(板原町))