コラム

2019年2月25日号

 瀬戸内海に面したF市を取材で回った。モノづくりが盛んで、日本を代表する大手鉄鋼の大規模事業所から、工作機械、産業機械、食品機械、工業用ゴム、自動車部品関係、繊維・衣料系等々の工場が林立する▼いわゆるニッチトップの会社が多く、取材先の四方山話では、著名な企業を上げ「○○社の商品は、実はこの町の△△製作所が一手で受託生産している」などのエピソードがいくつも▼独立心旺盛な地域のようで、「社長さん密度がすこぶる高い」とも聞いた。ただ、その裏返しとして今は人手不足が企業活動に暗い影を落としている▼そもそも地元に残って働こうという人材が限られるうえ、就職先に製造業を選ぶ学生もそう多くは無い。そんななか「地元製造業で頑張ろうとする子も、親の勧めで大手の現地採用を狙う例が多い」と異口同音の指摘▼某社長の会社は全国区でも知られるが、「採用数は目標の半分程度にとどまってしまった」そうだ。後で調べると、この地域の求人倍率は2倍を超え、全国でも1、2位を争うほどの求人難。切羽詰っている▼この苦境から脱すべく、現地では省人化・自動化の機運が高まっているようだが、同時にモノづくりの魅力を地道にアピールしていく事も欠かせないよう▼鶏口牛後という言葉があるが、モノ作りの面白さを感じ、小さくとも魅力的な会社でトップマネージメントを目指す、明日の製造業をリードする、そんな気概のある人材が増えて欲しい。