連載

2019年2月25日号

カドコーポレーション、CFRP自動成形加工装置を開発

インテリジェントロボで前を走る

 掴みどころのない会社である。CFRP(炭素繊維強化プラスチック)を扱い、2000年の設立から社員は15人に増え、手狭になった工場は昨春移転した。工場は平屋で10メートルほどの高さがあるから大きな生産ラインをつくれそうなことはわかる。時流を捉え、引きも切らず客が訪れるというのも何となくわかる。だが、機密保持の義務があるため、同社がロボットSIerとして組んだシステムはおろか、自社工場の全貌も明らかにしていない(昨夏開いた新工場内覧会の時でさえだ)。
 ただ、カドコーポレーション(兵庫県たつの市)の注目度は年々高まっている。産業見本市で8㍉厚のCFRPを先端に刃物をつけた多関節ロボットできれいに穴あけして見せたり、水素圧力タンクなどが製作できるフィラメントワインディングロボット装置を納入したりしたためだ。
 14キログラム可搬の協働ロボット1台を含め120キログラム可搬までのロボットを6台保有し、CFRPを中心に新素材の自動成形加工装置を開発して納める。12キロワットのミーリング機能と10本のツールチェンジャーをもつものを含め、ロボットはすべてKUKA製。NASAやエアバス、BMWなどと同様、自動化に関する情報を共有できる「KUKA OFFICIAL SYSTEM PARTNER」に2014年に日本企業として初めて加わった。
 「KUKA製にこだわるわけではないが、ロボットSIerとしては後発なので高精度ロボットで勝負するよりほかない」
 倉谷泰成社長はそう話す。新工場への移転を機に導入した協働ロボット「LBRiiwa」は複数の高感度トルクセンサーがついた7軸制御。「ただ決められた動きをするだけなら他社でもできる。今後はよりインテリジェントなロボットを採り入れたインテグレーションに力を入れることで、前を走れるのではないか。自動車分野だけでなく、様々な産業に広がる可能性もある」。

 新素材すべてをターゲットに
 主要顧客は自動車産業で依頼や相談が近年相次いでいる。取引先は大手自動車を含み、主に生産ラインや実験装置として使うCFRPの自動成形装置を納めようとしている。BMWやアウディの量産車の車体にCFRPが採用され、いよいよ日本の量産車の多くにも使われる日が近いことを窺わせる。頼りにされるのはこの新素材が加工上、扱いにくいためだ。繊維部分が毛羽立ったり、粘りのある樹脂部分が摩擦により焦げついたりもする。「食品、フィルム、アパレル関係からの問い合わせも増え、CFRP以外の新素材の相談もある。すべてをターゲットにしたい。『こだわらない』にこだわる」と柔軟だ。
 「有限会社カドマリン」として設立した当初はヨットの建造・修理・販売が主事業だった。02年以降、軽量化を図りたい自動車や航空・宇宙分野からの依頼に対応するかたちで、子どもの頃から親しんだ海の世界から離れることになったが、「FRP(繊維強化プラスチック)でつながっていて、見方によっては何も変わっていない。扱いにくい素材を使いたいという客の望みを形にするだけ」と倉谷社長は明快に話す。

(写真=高感度トルクセンサーがついた協働ロボット「LBRiiwa」)

(2019年2月25日号掲載)