識者の目

Grinding Technology Japan 2019開催の意義と期待

 日本の研削盤は、NC旋盤、マシニングセンタと比較すると、世界における認知度は低いと言わざるを得ない。しかしながら、日本メーカの設計技術力は、認知度の差ほどは低いとは思われず、日本の研削盤とその関連技術を、世界に向けてもっと発信していく必要があると感じている。
 このような状況下で、研削加工技術関連で日本初の国際的な専門展(Grinding Technology Japan)が、幕張メッセにて3月18日から20日にかけて開催されるが、その意義は非常に大きいと言える。
 昨年の3月にドイツのアウグスブルクで開催されたGrindTec2018というヨーロッパの研削加工関連技術の専門展を視察してきたが、自社独自のブースを構えて出展する日本メーカが少なく、世界で勝負しようとする積極姿勢があまり見られず、寂しく感じた次第である。
 このような背景もあり、日本の研削盤は、ヨーロッパ地域のニーズに応えるものになっていないように感じた次第である。研削盤の多様な構造形態、複合加工化への対応、これらに応えるためのCAM、多様な構造材料の適用技術、これらをバランス良く実現するためのモジュラ設計技術など、多くの点で劣勢にあることが感じられた。

■動き出した日本製品
 しかしながら、昨年11月に開催されたJIMTOF2018では、これまで、あまり大きな動きが見られなかった日本の研削盤が久々に動き始めたように感じて嬉しく思っている。特に、IoTを有効活用した加工プロセスの見える化、段取り作業の自動化、作業性向上によるスキルレス化などを目指した多くの研削盤が出展された。研削加工は、加工現象が複雑で切削加工より不確かな部分が多く、その見える化が困難とされているが、それらの解決に向けての積極的な挑戦が日本メーカから開始されたことはとても喜ばしいことである。また、超砥粒ホイール専用のドレッシング装置、ロボットによる砥石の自動交換など、周辺装置の高度化なども始まった。
 研削盤も切削加工機同様、機械本体だけではなく、図に示すようにNC装置とその制御プログラムを作り出すCAMソフトウエア、そして、砥石、ドレッサなどの工具類、加工寸法などの計測装置、砥石・工作物の保持装置といったツーリングシステム、研削液とその供給・浄化装置、工作物・工具のマガジン、それらの自動交換・搬送装置といった周辺装置など、多くの要素技術が必要となる。そして、研削加工における高精度・高能率化への要求が益々高まり、これら周辺要素が、加工精度、能率へ及ぼす影響度合いが増大している。この専門展は、必要となるこれら要素のメーカが一堂に会して、情報交換を行うことに意義がある。
 これにより、各関連メーカや研究機関・大学がお互いのニーズを知り合い、お互いのために良いものを作り合えば研削加工業界全体が活性化することになる。

MAMTEC代表(上智大学名誉教授) 清水 伸二