コラム

2019年3月25日号

 国連の関連団体が実施した今年の世界幸福度ランキングで日本は前年から4つ下げた過去最低の58位だった。ひとつ下の59位に、殺人率で日本の約200倍、外務省が「不要不急の渡航は止めて」と指導するホンジュラスの名があり、少し驚いた▼世界の中で相対的に平和で安全な日本が、殺人率・犯罪率でワースト級の国と幸福度がほぼ同じとは不可思議。納得いかないが、考えてみると、結果の裏側に意図しない皮肉な示唆といったものが顔を覗かせているようでもある▼調査は欧米の価値観が尺度になっていて、判断基準のひとつ「寛容さ」(Generosity=日本はこの項目で92位)は、チャリティで寄付をした等を評価対象にした。日本ではなじみが薄く、同項目で低評価になるのは致し方ないが、かといって「寛容さがない」とはいえない筈▼そういうわけで、欧米基準の幸福度ランクなど気にすることもないが、ただ「世界がそう評価した」という事実は残ってしまう▼過去から「NOといえない日本人」と非難された事が思い浮かぶ。しかしこれも外国人によっては「他人を慮って日本人ははっきりNOを言わない」と理解してくれる向きがある▼情報網が発達し、世界がうんと小さくなって国際化が進むが、境界(国境や文化圏、あるいは個人)の手前と向こうで価値観が違うことは忘れられない▼高い犯罪率=不幸と短絡視するわけにもいかない。違いを認識し、それを受容する姿勢なしに、よい国際化など進まない。