連載

2019年4月10日号

東洋理機工業、スーパーロボット考案中

ハンドで「3K」脱却へ

 東洋理機工業が最も得意とするのは「3K(きつい・汚い・危険)」と呼ばれる現場の自動化だ。1985年からシステムインテグレータの草分け的存在としてハンドリングを中心に手がけてきた。累計納入数は500システム。そのうち約4割を熱間鍛造ロボットシステムが占めている。
 主な役割は1000度以上に加熱されたワークを把持して、鍛造プレス機にセットすること。冷間や熱間へ移動したときに起こる熱膨張を考慮し、ワークとの微妙な位置の変化に反応できるように設計する。そうすることで金型や工程の変更にも容易に対応できるというわけだ。
 肝となるのはハンドだ。ロボット本体に熱が伝わらないように、ワークに歪みが起こらないように、耐熱部材で分厚く頑丈につくる。自動車部品のような小型ワークの搬送が多いものの、取扱うのは可搬質量50~200キログラムのロボットが中心だ。
 熱間鍛造は、高温、振動、騒音、粉塵が付きまとう過酷な現場。開発当初は「炉からの輻射熱で燃えたり、粉塵で動かなくなったりした」(細見成人社長)という。数人が短時間の交代制で対応せざるを得なかった作業の自動化は、大きなコストメリットを生み出す。ロボット1台あたりの導入コストを1000万円、耐久時間を3万時間とすれば、ロボットの価格は時給換算で333円になるという。
 現在抱えている受注はすべて熱間鍛造関係。「ハンドリング自体、チャレンジングなテーマだが、その中でも熱いモノをつかむのは敬遠される案件だ。そういった他社が断った仕事を好き好んでやっているうちにこうなった」と話す。
 3K自動化の挑戦は尽きない。実用に向けて細見社長が熱中しているのが「マスタースレーブロボット」だ。遠隔操作システムの一つ。事務所に設置した小型マニピュレータを手で動かしたとおりに、現場のロボットが稼動する。ティーチングで教示しにくい感覚的で複雑な動きができるので、「まさに3Kにぴったり。1600℃あるスラグのかき混ぜ作業、バイオハザード表示のある現場でも使えるのでは」と見る。

  学園祭のノリで
 特定の用途に合わせて設計するカスタムロボットの製作にも力を入れている。メーカーが量産している汎用品の改造ではない。必要な機能に焦点を当て、可搬重量、軸数、動作様式などを最適化した東洋理機工業オリジナルの「スーパーロボット」だ。
 「市場のボリュームゾーンに合わせて製作されている汎用ロボットは最大公約的仕様。当社のスーパーロボットは『高度に使いたい』との要望に応えて、いつもゼロベースで考えている」という。
 細見社長は遊び心を忘れない。展示会ではハンドリングのノウハウを生かした工夫で魅せる。ネイルアート、たこ焼き、お好み焼きなど、ロボットに置き換えた実演に人だかりができた。
 「学園祭のノリでつくった。人の方が、美味しく、キレイにできるのは当たり前。産業用ロボットが人と同じ道具を使って行うところに面白さがある」。
 2016年7月、長崎ハウステンボスにオープンした「変なレストラン」にお好み焼き調理ロボットが採用された。料理長として、15軸の双腕ロボットが1日9時間焼き続けているそうだ。
 「熱間鍛造の仕事で手一杯の状況だが、技術屋としてやっておきたいことがまだまだある。不定形なモノをつかむことにも挑戦していきたい」という。

(写真=耐火性の素材をジャケットのように着込んだ熱間鍛造ロボット)

(2019年4月10日号掲載)