連載

2019年4月25日号

筑波エンジニアリング、「役職無し」のフラット環境

複数の自動化案件をこなしきる

 約35名の社員の中で、肩書きがあるのは創業者の大槻雅晴代表取締役のみ。その息子であり、営業部門の中心的な立場にいる大槻歩氏の名刺には「営業担当」としか書かれていない。
 「ウチは特に役職とかを設けていないんですよ。社員全員がそれぞれの部門における『スペシャリスト』です。自分の仕事に誇りと責任を持って仕事に取り組んでいる。また、様々な案件が同時に多数進行していますので、風通しよくフラットな立場で意見交換ができるメリットがあります」(大槻氏)。
 1977年に創立した筑波エンジニアリング。自動車から精密機器まで様々な製造現場の自動化を手掛け、茨城県下屈指のSIerとして名を馳せている。社屋には設計部門から製造部門、アフターサービスまで、自動化設備を一気通貫で提供できる設備が整っている。
 大槻氏は「食べていくために、ありとあらゆる仕事を請け負っていた結果、こうなった」と謙遜するが、現在では大手メーカーの製造ライン構築を任されるほどだ。
 同社が得意としているのは、インサート成形の自動化。射出成形機に作業員を配置して、一日何千、何万回という作業を人手で行う現場も少なくない。だが、同社では多関節ロボットを使ったインサート挿入やアウトサートを可能にする。また、ゲートカット機やバリ取り装置、パレットチェンジャー、外観検査等の後工程を行う装置を組み合わせた完全省人化ラインの構築も提案している。
 「成形の自動化において、重要なのは金型を壊さないこと。インサートにはバラツキがあったり、不良品が紛れ込んでいることも稀にあります。弊社では多関節ロボットにセンサなど様々な仕掛けを施し、金型を保護するための安全対策も提案できます」

できるだけ就業時間内に終わらせる 
 この4月からの法改正で「働き方改革」が声高に叫ばれる中、一般的なロボットSIerの労働環境は、比較的残業が多く決して良好な就労環境ではないとも言われている。だが、同社ではほとんどの社員が残業ゼロで帰途に着く。
 ロボットティーチングを主に担当する佐野さんは「納期から逆算して、なるべく就業時間中に全てのタスクが終わるように作業をしています。誰もが多くの案件を抱えていますが、残業はほとんどしていませんよ。残ってやれば誰でもできますからね」と社員それぞれの仕事に取り組む意識の高さを強調する。
 だが省人化、省力化を進める立場の同社も、昨今の人手不足とは無縁ではない。大槻氏も喫緊の課題として挙げるのが新たな人材の登用だ。
 「ベテランが多くなってきているので、彼らが持っている技術を次代に継承していかなければなりません。ですが、なかなか人が集まらないのが現状です。ちなみにウチなら入ってすぐに重要な案件に携われます。もちろんフォローもしっかりしますが、長い下積みを経て……なんてことはありません。組織がフラットで自由度も高いですから、自動化・ロボット化をクリエイティブな感覚で取り組んでもらえる職場なのではないか、と自負しています」

(2019年4月25日号掲載)