オヤジの喜怒哀愁

2019年5月25日号

大人の窓口

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 企業の取材窓口となる広報担当にはスマートな女性が多い。窓口を務める彼女たちの仕事ぶりが企業のブランド・イメージをも左右しかねないわけで、さすがに応対に抜かりは無く、およそ声もいい。適材適所の人材が配置されているものだ。
 取材内容や当該部署、日程などを伝え、それが調整可能かどうか、彼女たちとのやりとりがスタートする。OKとなれば、広報担当者として彼女たちが取材に立ち合うケースもある。それまで電話やメールで連絡していた人が実際はどんな人なのか当日に会うのは楽しみだ。予想に違わず、洗練された振る舞いでこちらが気持ちよく取材に臨めるシチュエーションをさらりと作ってもらったケースが何度もあった。
 ところが、である。こちらが事前に用意した取材内容が企業のネガティブな面に触れる場合、状況は一変する。まず、電話アポの段階ですぐに担当が代わる。入社間もない感じのフレッシュな声がかき消えて、電話の主は落ち着いた大人の声になる。こうなると取材の実現性も怪しくなってくる。
 多くの企業が宣伝や広報活動につながる取材には協力的である。しかし、企業の不祥事や事故などネガティブな内容の取材については相変わらず慎重な態度をとるところが多いのが現実だ。

オコトワリです
 ベテランが出てきてこちらへの対応を取り仕切るような感じになってくる。これまでにもいろいろとタチの悪い奴らと渡りあってきた、そんな老獪な声が受話器の向うから聞こえてくる。言葉づかいははじめの担当者よりもむしろていねいである。が、「あなたのおっしゃることもわかりますけれど、今回の取材についてははっきり申し上げてオコトワリです」というドスが利いている。ひょっとするともはや電話は広報担当ではなく、オコトワリに長けた特別な部署に回されているのかも知れない。
 一方で筆者も齢を重ね、今なら若手よりもむしろドスの利くベテランとお近づきになりたい、そのほうがいろいろ真実に近づけそうだと思うのだが、残念ながら直接お会いする機会にはなかなか恵まれない。