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三菱重工工作機械、金属3Dプリンタに差別化機能

造形安定化とチャンバーレス実現

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 三菱重工工作機械は5月16日、都内の本社で記者会見を開き、パウダーベット方式よりも造形速度が10倍速いパウダーデポジション方式を採用した金属3Dプリンタ「LAMDA200」(昨年12月発売、実売価格5000万円未満)において、造形を安定化できる「モニタリングフィードバック機能」とチャンバーレスで造形できる「ローカルシールド機能」の2つの新技術(オプション、価格は非公開)を開発したと発表した。
 岩崎啓一郎社長は「世界で初めて実用化した画期的な差別化技術。チタン合金の大型部品など航空宇宙分野のニアネット造形に生かしたい」と期待を込めた。デトロイト(米ミシガン州)で5月20日から開催された先端立体造形技術の見本市「RAPID+TCT2019」で披露し、国内外で販売する。なお同社では金属3Dプリンタなどの新事業と海外売上拡大により、2030年に売上高を18年度(491億円)の2倍強となる1000億円にまで成長させる目標を掲げている。
 新開発のモニタリングフィードバック機能では、金属粉末が基材に溶け込む造形状態(メルトプール)をカメラやセンサでモニタリングし、レーザー出力などの造形条件をリアルタイムに自動制御できる。技術本部副本部長の二井谷春彦氏によると「自動制御により金属の溶け落ちを防げ、トライアンドエラーを無くせる」という。
 また、ローカルシールド機能は、チャンバー(不活性ガスを充てんする密封スペース)を使用せずに大型部品を積層造形できる機能。大気の巻き込みを防止する局所シールドガスを造形ノズルから吹き付け、チタンやアルミなどの酸化を嫌う材料を大気環境中で造形できる。チタン合金(Ti6Al4V)造形物の強度試験によると、試験片の最大応力は鋳造を超え、鍛造と同等レベルで航空機部品でも満足できる強度。なお、LAMDA200の最大造形サイズは200ミリ角だが、「10メートル角の造形に対応できる造形ヘッドをコンパクトな加工機に搭載した。大型部品の積層造形の実用化も急ぎたい。企業や自治体の研究部門と検証を進めて先進技術の認知を広げ、製品設計自体を変える方向にもっていければ金属3Dプリンタの活用が広がる」(二井谷氏)。今後は、軽量化に役立つ複層材料部品の造形や組成の違う材料を接合した傾斜機能材料の造形の技術開発も進めるという。

(2019年5月25日号掲載)