連載

2019年6月10日号

RESTEX(レステックス)、「設計力」生かす新興SIer

創意工夫で現場課題を解決

 半導体製造ライン向け温調設備や各種試験装置の3D設計を得意としてきたレステックスが、ロボットSIer事業に取り組み始めてから、わずか4年。主に鋳造分野の自動化で経験を積み、今や年間売上の半分弱を、SIer事業が占めるまでに成長した。
 「1秒を競うサイクルタイム重視の仕事は、老舗SIerの皆さんに敵いません。我々がこだわりたいのは設計力。人手やロボットの数、工数を最小限に抑えつつ、現場の困りごとを解決できる手法を、設計の創意工夫で導き出していきたい」(齊藤圭司社長)
 例えば、グラビティ鋳造ラインの場合、金型に湯(溶けたアルミ)を押し込む「押し湯」の部分を製品から切断する工程で、ロボット導入に挑んだ。ターボチャージャーなど複雑形状の自動車部品のどこを、どんな形状のハンドで掴めば、グラインダーの負荷に耐え、押し湯の切り残しを最小にできるのか…。ロボットハンドを自社3Dプリンタで試作し、オフラインティーチングで3Dシミュレーションを繰り返す。視覚的な確認作業の中でユーザーの納得を得られれば、設計への手戻りを最小化できるのだと言う。
 「ティーチングの経路一つとっても、設計者のセンスが問われます」と齊藤社長。SIer事業を始めた当初はロボットメーカーからプロ中のプロを派遣してもらい、数百万円をかけてポイントを学んだそうだ。

 ■一流の設計者を育てる
 社員の出社日は週に1回(水曜)だけ。東日本大震災発生をきっかけに自宅勤務中心に切り替えたところ、思いのほか効率がよく、この独特の勤務スタイルを続行した。とは言え、SIer事業の繁忙期、設計スタッフは机上の作業に終始しているわけではない様子。「電気配線、PLCの設定、ロボットのティーチング、検収まで一貫して担当することで、重さの感覚からネジの数に至るまで、図面と現場の違いを体感的に学べる。一流の設計者として花開くまでには、現場で汗をかき続けてセンスを磨く時期も必要なんです」。
 齊藤社長自身、国家資格「技術士(機械部門)」の資格を持つスペシャリストだ。技術顧問を任されている鋳造部品メーカーのインド工場では、冷却タイミングを最適化して鋳造品質を向上させるべく、作業者1人ひとりのスコアを日本側で算出できる遠隔監視・演算システムまで創り上げた。
 「ロボットはあくまで、現場の困りごとを解決するための道具の1つ」。最近では、アーム型協調ロボット「TMシリーズ」(台湾テックマン・ロボット社)も、新たな「道具」として加わった。齊藤社長は「高さや傾きのズレまでも、眼(ビジョンシステム・標準搭載)で見て自動調整できるので、ロボットに不慣れな現場スタッフでも扱いやすい」と評価する。自動検査装置との協働など、人の代わりに、人と同じ作業スペースでTMシリーズを活用しようとしている。

(写真=台湾テックマン・ロボット社製のアーム型協調ロボット「TM5-900」(最大可搬4kg)の導入例。アルミ鋳造素材の成分分析評価において検査機との協働や資材整列などを行っている。キャスター付き架台もレステックスで設計し、上下調整やアームを伸ばした際のぐらつき防止も実現)

(2019年6月10日号掲載)