コラム

2019年7月25日号

 愛煙家の肩身の狭さと世間の世知辛さを以前のコラムで書いた。その時「こんな話はもうこれっきりにするが」と断りを入れたが、もう一度取り上げたい▼大阪府職員が、勤務中の喫煙により訓戒等の処分を受けたとの報道が、1カ月ほど前に流れた。約9年間で2318回の喫煙回数があり、これが「職務専念義務違反」にあたるそうだ▼わざわざ数えたのかと怪しんだが、そうではなく、平均的喫煙回数から算出した数字らしい▼それにしても「2318回の職務専念義務違反」とは洒落にもならずまあ陰湿だと、喫煙者として文句も言いたくなる▼確かに一回5分程度の喫煙でも、2318回ともなると200時間前後を費やす計算だから、その分のマイナス査定はあるべきだろう▼けれどクルマのハンドルと同じで、仕事にも若干の遊びはあっていいはずだし、これまではそれを容認する社会だった▼訓戒に別の要素があったのかもしれないが、もし100%仕事に打ち込み、一服いれ、頭をすっきりして次に臨んでいたとしたら一方的に責めるのは酷じゃないか。喫煙者はたまたま「タバコ」だが、お茶なら許すのか▼そもそも「職務専念義務違反」などと冷徹で無機質な言葉が氾濫し過ぎている。ある作家が「社会から肉感的な言葉がどんどん消えている」と嘆いていたが、体温をなくした言葉や記号が溢れる社会で、逞しい人間が育つだろうか▼喫煙者がなに勝手なこと言うか、と叱られそうだが。

(2019年7月25日号掲載)