連載

2019年7月25日号

スキューズ、確実に閉めやさしくつかむ

変種変量の食品生産ラインに対応

 日常生活に不可欠なコンビニエンスストア。市場ニーズや季節に合わせて、棚に並ぶ商品が日々変化する。とくに競合他社との差異化要素になっているのは、おにぎりやお弁当などのオリジナルメニュー。中身だけでなく、パッケージや容器もバリエーション豊かだ。
 スキューズ(京都市南区)は、変種変量で人海戦術に頼っていた食品生産ラインの自動化を得意とする。容器が2重構造になっているチルド弁当の場合、具材の入った中皿をフタで閉めた後、ご飯の入った本体容器の上に載せる。この一連の動作をロボットがやるには、まずコンベアの流れに合わせることが必須条件となるそうだ。
 取締役社長の川田成範氏は、「タクトタイムを狂わせないように、ロボットも流れに沿って動きながらフタを『カチッ』と嵌合(かんごう)させる。圧力の調整にも注意しなければ、破損や変形の原因になる」と話す。容器の形状ごとに付け替えが必要なハンドは「ほぼ自前」で用意。フタ閉めの用途に特化したロボットパッケージ(=写真)として製品化した。
 調理済みの食品を自宅や職場で食べる「中食」市場拡大を背景に、ラベル貼付、パッケージング、出荷前のケース積載まで工程間で人手が必要だったライン全体の自動化案件が急増している。レンジによる温めで蒸気を逃がす「フタの穴」の位置を指定する案件には、ビジョンセンサを活用することで対応した。こういった遠目では判別しにくい、人が見落としがちな検査工程以上に、川田社長が「需要が増えてくる」と予想するのは盛り付けだ。
 「盛り付けは人手作業を代表する工程。具を集めて、香辛料をふりかけた後、ケースの縁についた汚れを取って、最後にフタを閉める。簡単なようだが、長時間続ければ腰痛や腱鞘炎になりかねない」
 その動きに対応する製品の1つとして、2018年3月に開発したのが1本ずつゴムでおおった5指ハンド開発キット。空気圧制御で把持力を調整し、直径100ミリ、重量500グラム以下であれば、形状や固さにバラつきのある食材も傷つけずにつかめる。桃の梱包作業に使えることも実証済み。「下から出荷用のネットにかぶせられる」という。

■ないものは創る
 スキューズは信条に「世の中にあるものは使い、世の中にないものは創る」を掲げている。自社開発した協働ロボット「N-JIKU」もそう。軸数、可搬重量など、作業内容や設置環境に応じてカスタマイズできる仕様とした。2018年にはAGVに載せてトマトを収穫する実験にも成功している。
 今年5月、首都大学東京、静岡大学、東洋大学と共同で人工知能技術の社会実装に向けた研究を開始した。工場や農地などの生産現場を想定した支援ロボットで、機械学習による多機能化を進めながら、現場への本格導入までの期間削減を目指す。
 川田社長は「自前で用意することにこだわっているわけではないし、1社でできることは限られている。ロボットメーカー、研究機関、システムインテグレータと積極的に協業していきたい」と話していた。

(写真=具材とご飯が分かれている2重構造の「チルド弁当」。1ラインで10人以上必要だった工程を自動化した)

(2019年7月25日号掲載)