連載

2019年8月10日号

オフィス エフエイ・コム、危機を好機に変えた「オールラウンダー」

工場まるごと請け負うファクトリービルダーへ

 物流ゾーンでは雑多に詰まれた段ボール箱を、安川電機製の6軸ロボットが整然とコンベアに並べていく。食品ゾーンではセイコーエプソン製のアームロボットが弁当の盛り付けを行い、自動車・機械ゾーンではABB製の双腕ロボットが製品の外観検査を行う――。
 様々な業種にマッチした最新のロボット・自動化ソリューション、IoT化を実体験でき、なおかつ次代を担うSIerの育成の場ともなっているのが栃木県小山市の「スマートファクトリー・コンダクターラボ」。通称「スマラボ」だ。
 同施設の共同運営を行っているのが、約300人の社員を擁する大手SIerオフィスエフエイ・コム。社員の半数以上はエンジニアで、自動化における設計、電気回路、制御からメンテナンスまで一気通貫で請け負う。特に制御ソフト開発は年間500件以上を扱い、自動化案件も年間100件以上をこなす。
 同社の強みのひとつとして挙げられるのが、特定の業種、クライアントに依存しない点だ。転機となったのは2008年、リーマンショックのあおりを受け、売上の約7割を占めていた自動車関連の受注案件が全てストップ。弱冠23歳で独立・起業、順調に社業を拡大してきた飯野英城社長にとって、最大のピンチでもあった。
 「ちょうどリーマンショックの半年前に3PL(サードパーティロジスティクス)事業を立ち上げたが、これが無ければいまのウチの会社は無かったかもしれない。リーマン後の3年ほどは、物流事業の収益が頼みの綱になった」と飯野社長は述懐する。
 その間に、「何とかウチの技術を転用できないかと模索し、様々な業界に飛び込んだ」という。結果、建機、鉄鋼、医療、化学、三品業界など幅広い業種において受注を獲得。あらゆる自動化のエキスパートとして飛躍的に認知度を高めていった。

海外人材を積極的に採用
 現在はグローバル化への取り組みも加速させている。ベトナム、タイ、中国に現地法人を設立し、海外人材の採用にも注力している。技能実習生としてではなく、アジアの一流大学の卒業生を積極登用。すでに30人以上が同社で腕を磨いている。
 「現状、国内の案件をこなすにも日本人だけでは足りなくなってきている。だが、世界を見渡せば、優秀な人材はまだまだ確保できる。今後の成長戦略のひとつとして、東南アジアをはじめとした自動化案件に積極的に取り組んでいくが、そのためにも彼らをちゃんと一人前にして、いずれは海外の拠点で活躍してもらおうと考えている」。
 一方、国内は大手ゼネコン等と協業し、「ファクトリービルダー」としての提案を強化してゆくという。
 「制御やコントロールといった自動化や省人化はもちろん、IoTを活用した見える化や予兆保全、省エネや再エネ活用、人員の最適配置までシミュレートしトータルで提供する。製造ラインを作って終了ではなく、将来的な需要やライン変更まで、未来を見据えた工場をプロデュースしていく」。
 すでに九州で第一号となる工場を建設中。近日中にも操業を開始するという。モノづくりの根底から効率化する、同社流のスマートファクトリーがどのような成果を上げるのか、注目が集まる。

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