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無人機 ようやく「航空機」へ

世界が模索する商業利用

 無人航空機の商業利用が一気に広がるかもしれない。国際民間航空機関(ICAO)が2018年から無人航空機システム(UAS)を民間航空機の1ジャンルとして取り扱うことを決めたことを受け、欧米でUASの開発競争が始まっている。米インターネット通販最大手のアマゾンが昨年末に構想を明らかにした小型無人機配達もその1つだ(GPSを利用して物流センターから半径16キロ以内へ30分以内に届けるという)。また昨夏にはドミノピザの英国法人が無人機によるピザの宅配映像を公開している。業界関係者は「欧州では野生動物の観察や密輸船の監視といった利用法がすでに数百も提案されている」と言う。
 米連邦航空局(FAA)などでは無人機の商業利用を厳しく制限してきたが(アマゾンの配達や農薬散布を認めていない)、「米国で無人機と有人機をどう飛ばすかの検討が始まっており、来年あたりから様々な案が出てくるだろう」と東京大学大学院の鈴木真二教授(航空宇宙工学専攻)は話す。

■無人機大国ニッポン
 無人航空機を最も多く使っているのは実は日本だ。農薬散布や自然災害の観測・調査や空撮、ホビー用として使われ、日本産業用無人航空機協会(JUAV)によると産業用として2千機近い無人航空機が飛んでいるという。農薬散布用ヘリコプターでは世界大手のヤンマーのほかヤマハ発動機などが名を連ねる。TBSテレビは多数のプロペラをもつマルチコプターをマグネシウム合金やCFRPを多用して軽量化を図りながら空撮利用を模索している。
 ただ、国土交通省が定める航空法では航空機は「人が乗っていること」が前提で、無人機はラジコンと同じ扱いになる。日本での無人機利用には150m以下の高度に限るといった条件を付けてはいるが、「国としてどう規制していくかの方針が決まっておらず、ルールづくりが必要だ」と鈴木教授は指摘する。
 そこでルール案を提案していく非営利組織として、産官学でつくる(一社)日本UAS産業振興協議会(東京都千代田区、理事長・鈴木教授)が今年7月に設立。行政機関への働きかけや産学官での情報交換、世界の現状報告、産業振興への提言などを中立的な立場で行っていくという。
 無人機は多くの用途が考えられるため爆発的な市場の拡大が想定される一方で、無人機大国の日本には近年、安価なアジア製が入ってきているという。安全性、プライバシーの問題を含めたルールづくりが急務のようだ。