連載

2014年12月10日

自動車部品専用機開発で評価

1台のマシンでデフケースを複合加工
ハル技術研究所[切削専用機・各種治具の設計・製作]
岡山県岡山市

 ハル技術研究所(万代晴夫社長)は国内および海外の自動車部品製造向けに多くの納入実績のある専用機メーカーだ。同社は2003年、万代社長が26歳の時に設立。以来、自動車部品製作に特化したデフケース加工機、センタリングマシン、ブローチシャープナー、ハウジング加工機の設計・製作・組立・据付業務や各種治具の受託製作等の事業活動を展開。国内はもとより、自動車生産が活発なメキシコ、インドネシア、タイに加え、ベトナム、マレーシア、インド、韓国など海外の1次・2次のサプライヤー工場向けに、完成車メーカーのニーズに即した各種専用機を提供。同社の専用機で加工・製作された各種部品が、国内および海外の主要自動車メーカーの主要な構成部品として装備され、高い評価を得ている。  万代社長が現在、特に注力しているのが、滑らかなコーナーリングを実現する「デファレンシャル(通称・デフ)」の構成部品であるデフケースを製造する「デフケース加工用複合機」だ。
 自動車がカーブを曲がる際、内側と外側のタイヤは転がる距離が異なる(内輪差)ため、左右の回転差を吸収し、滑らかなコーナーリングを実現するために開発されたのが「デフ」と呼ばれる差動発生装置だ。
 デフケースとリングギヤ、ピニオンギヤ、サイドギヤの3つギヤで構成されている自動車走行に不可欠な重要部品だ。二輪駆動の場合は左右の駆動輪の間に一つ装備されているが、四輪駆動(4WD車)の場合は前後にもう一つのデフが必要となる。走行機能に直結する部品のため、当然ながら高い精度と安定した強度が求められる。  同社の「デフケース加工用複合機」は、40番の立形マシニングセンタ(MC)と同等の省スペースな本体サイズ(幅3550×奥行2450㍉)に、左右対向のスピンドルユニット(BT40各16本ATC付)と、中央にインデックス装置を搭載。デフケースをインデックスにより、回転位置決めさせながら、両側からデフケースのシャフト穴、球面、端面、ノック穴、サイドギヤ穴、アクスルシャフト穴の加工ができるのが大きな特長だ。ただ、専用機で加工生産する部品は、メーカーや機種により、形状やサイズも微妙に異なる。このため、組立時には完成車メーカーの設計や仕様に合わせた「デフ」を加工するための調整が必要で、「一人ひとりの創意工夫とチームワークが勝負」(万代社長)という。
 従来、各工程を別々の単体機でライン構築をしていた生産現場からは、「サイクルタイムの平準化が大変」「治具交換時間が膨大」「生産数が少ない立上げ時でも、最大投資額が必要」「異なった加工基準となるため、加工精度が低下する」等の声が聞かれたという。こうした課題の解決策として、1台の機械でデフケースを加工できる同社の複合加工機が注目されている。
 さらに、最近では(1)シャフト穴加工(2)穴径測定(3)端面加工(4)球面加工―を全自動で行う加工ラインも開発。デフケース専用加工機とロボット、自動測定装置により、省力化と安定した高精度加工を実現すると、評価されている。
 万代社長は、「当社の強みは、デフケースの球面、端面、シャフト穴を加工する専用機の設計・製作・販売・アフターサービスを一貫して展開している事。今後も、蓄積したノウハウを発揮し、複合加工による工程集約と生産性向上を提案していく。なかでも、デフケースに特化した測定機器の開発・製品化に注力し、加工から測定までの高度な全自動加工システムを構築、競争力向上を目指す」と強調した。