コラム

2019年9月10日号

 実態を急に理解し得た時に、理解のキッカケとなった要因を指し、目からウロコなどと言うが、筆者がモノづくり業界を取材し続けたなかで最大の「目からウロコ」は、もう20年以上前か、ある講演会で聞いた「後発優位性」なる言葉だった気がする▼当時からモノづくりの大方が設備産業化する一方、機械等の設備はどんどん進化していた。設備は高額で頻繁に購入できるものではなく、後発の、より新しい機械類を設備した者が生産性や技術で優位に立つとの意味が、ずっしり腑に落ちた▼だが同時に嫌な予感もした。げんに、先進国に対する新興国製造業の追い上げは、その後、「後発優位性」を味方につけて急加速した▼後発優位の現状は大筋として否定しにくいが、そればかりでないと信じたい。だがIoTやAIの時代を迎え、この言葉は一層の重みを増しそうだ。雑駁に言って、進化の速度を見ると、例えば現状のAIより5年後のAIがよほど優れていることは自明であろう▼では、さらなる発展を待って「様子見」すべきなのか。いや、ここで興味深いのは、ソフトウエア業界などに見られる「継続発展型ビジネス」が増えそうなことだ▼定期的にバージョンアップを施し、現在から将来にわたって永続的に顧客満足を提供しようとするスタイルは、ワールドワイドに広がる持続可能な(Sustainable)世界を追う動きとも符合する▼こうした潮流が「後発優位」とはまた違った世界を生み出すと思われるが、どうか。