連載

2019年9月25日号

ヤナギハラメカックス、年輪刻み人を着実に育てる

ロボティクス導入支援、教育と実証で

 10年先、20年先の未来を見据え、ロボットSIer事業を強化する企業が増えている。FA事業で約40年にわたる実績を持つヤナギハラメカックスでも2011年からロボットSIer事業に力を入れ始めた。
 「リーマンショック後、海外に活路を求める中小製造業もある中、当社の事業領域を再検証し国内で戦って勝ち残る道を選びました。戦う術として最も有効だと感じていたのが、FA事業の中で少しずつ導入実績を積んでいたロボットです。これからは次々に生み出される革新的なIoT・ロボット技術を我々自身も工場で使いこなし、楽しみながら新しい技術の恩恵を受けたいと思っていますし、ユーザーにもそのワクワク感と利便性を提供していきたいです」
 柳原一清社長の狙いは、時代のニーズにピタリとあったようだ。人手不足に悩むFAの客先大手からは「ロボット=ヤナギハラメカックスに」の評価が徐々に高まり、人材採用では「ロボットSIerを目指したい」と同社の門戸を叩く若手が増えてきているという。
 現在の事業構成は各種専用機のOEM/ODMと、ロボットを含む自動化ラインの設計・製作(FA)がほぼ半々。OEM/ODM事業では工作機械の工具自動交換装置のカム機構などの複雑かつ高精度な製造技術を駆使し、大手工作機械メーカーの求める超高速・高精度交換をピタリと形にしてみせる実力派であるほか、外資系装置メーカーの振動溶着機を受託設計・製造する国内唯一の企業として知られる。一方のFAでも大手向けの自動化ライン(搬送、組立、検査等)で多数の実績を持つ。
 広大な敷地内には機械加工棟が4棟、組立工場棟が3棟、塗装工場、機械・電気設計エリアなど、顧客ニーズにワンストップで応えられる様々な機能が揃う。さらに17年11月、ロボットユーザーや学生向けの認知度向上や操作教育に力を入れるべく、「ロボティクス支援センター」を立ち上げ、安全特別教育も開講している。開設当初にいち早く、静岡県と「静岡県ものづくり人材育成協定」を締結。清水テクノカレッジ(技術専門校)の特別カリキュラムの一環としてロボットの基本操作、プログラミング自動運転などの講義・実習コースを設けている。

■夢中にさせる面白さ
 センター内には最も需要のある垂直多関節ロボットをはじめ、双腕の協働ロボットやレーザーを活用した溶接ビード検査システム(リンクウィズ製)、ネジ締めを自動化できるパラレルリンクロボなど様々なデモ機がずらりと揃う。これらは教育のみならず、ロボット導入検討企業向けの実証実験でも活用ニーズが高いそうだ。
 「シミュレーションソフト上では余裕をもってワークを掴めても、実際には要求タクトタイム内に収められないことも多い。朝と夕方の光の当たり具合の差や、ガラスなどの透明でエッジが判別しにくいワークをどこまでカメラが認識できるかなどは、現実世界で試してみなければ」
 また、ハンドの開発やビジョン活用でも実績を着々と積んでおり、例えば自動化が難しいとされる形状が不安定な食品の生産ラインでは、2個ずつ非接触で搬送できるハンドの開発とビジョンセンサの活用により、柔らかく、油で滑りやすい食材を潰さずに掴み、素早くパック詰めにする装置を実現した。
 「ロボットを含め、FA事業は一品一様で技術力と発想力が問われます。だからこそ面白く、若手を夢中にさせる部分もあるのでは。今は慌てずじっくり人を育てていくつもりです。大木が年輪を刻んでいくように、一年一年、着実に成長していきたい」。人の成長あってこそ、企業の持続成長があると言う。