コラム

2019年11月10日号

 社内の打ち上げ。アルコールは進むが、右の皿も左の器にも、つまみの最後のひと切れが残り、社員で囲むテーブルは渋滞し追加の肴を置けない。「これ取り皿にとっちゃってよ」と誰かが言うはめになる▼この残ったアテの一片を関西では「遠慮のカタマリ」と上手く表現するが、同じ光景は日本中にありそうだ。日本特有の「慎みの文化」が社会に染み入っている証拠かもしれない▼中国では違っていて、やはり食べ物を残すが、理由は完食すると足りないと見られてしまうためらしい。わざと残し、満足と満腹感を暗に伝えるのがマナーという。現地のレストランに行くと、確かに食べ残しの多さが目につく▼と、ところ変われば似た現象も理由は違って、文化の相違かくもと思えるほど▼ところが、こうした残飯が最近世界で猛威をふるう「豚コレラ」の原因だというから恐ろしい▼感染した豚の非加熱食品が国境を越え、残飯として養豚に使用された結果、病気が広がっている等々と、国の機関が分析する。思わぬ落とし穴を見た気分だ▼温暖化→海水温上昇→台風大型化は図式として分かりやすいが、豚コレラは食物連鎖と、食物&残飯の流通経路が人知れず絡み合い、家畜の病害を広げている▼以前グローカルという言葉がはやったが、世界に与える影響を考慮したローカルでの行動が、この先いろんな場面で求められそうだ。それが地域の慣習や文化を失わせるとすれば、一概にいいこととも言えないが。

(2019年11月10日号掲載)