連載

2019年11月10日号

ロボプラス、コンビニ向け陳列ロボットを開発

工場長時代のリベンジでSIerに

 コンビニエンスストアの飲料用棚から客が飲料缶やPETボトルを抜き取ると、6軸ロボットが自動で補充する。いずれも容器のバーコードを読み取って補充したい商品に間違いがないかをチェックしたうえで、ちゃんと客側から見て容器の正面を向くようにセットする。こんなシステムを開発したロボットSIerがロボプラス(兵庫県伊丹市)だ。昨夏、大阪府泉大津市に開設されたロボット&AI(人工知能)システム導入支援ショールーム「HCI ROBOT CENTER」に常設され、来年あたりから月30万円ほどでレンタルを計画している。
 ロボットによる補充作業は一見簡単そうだが、コンビニで扱う飲料容器は形・高さ・径・材質がまちまちだ。大場正樹社長は「スキャンの仕方や一連の動作をどう行うのかを決めるのに3年ほど要した」と言う。人手不足が叫ばれるなか、こうしたロボット利用がますます広がりそうだ。そう思って同社を訪ねたのだが……。
 「情報に物理的要素が加わるととたんに難しくなる。情報だけを扱うAIなら画像を含めてデータを覚えさせることでどんどん賢くなるが、ロボットには具体的な動きを教えなければならないし、そのための厖大なプログラムを作らなければならない」
 と大場社長は悲観的に説明する。そのうえでこう結論づける。「世の中でロボット化できる作業って実はそんなに多くはない。とりわけ今の日本の製造業には」。
 人とロボットの特性を見極めてピンポイントでロボットを導入しないと、かえってコスト高に陥るという。
 「ロボットはファジーなことが苦手だが間違えない。人は器用に何でもこなすが間違える。それを踏まえ生産ラインのどこをロボットにやらせ、人は何をするか。トータルで考えてこうすればコストが合うのではないかと航路を示すのが当社の役割かな」と話す。

汎用的なシステム開発へ
 大場社長は2012年まで金属材料を扱う会社で工場長を務め、マシニングセンタなどの加工機を操作していた。その後独立し、経営コンサルティング会社を設立した。転機はその翌年。購入した車に搭載されたカメラが前方のバイク、自転車、人をきちんと認識することに衝撃を受けた。というのは前職で工場にロボットを導入しようとした際、ランダムに流れるサイズの異なる材料をピックアップして面取りさせようと考えたが、SIerからもカメラメーカーからも「そんなことできるわけがない」と笑われた。自身でも土日を使って半年間考え続けたが、ワークをうまく認識させられる術がなかった。
 「あのときのリベンジがしたいなって。お客様も自動化したがっているし」と16年にロボプラスを設立。ロボットの知識をほとんどもたない人を支援することが多く、「依頼を受ければ即『工場見に行きますわ』ってノリです。だから無茶すぎる注文が多い」と笑う。
 個々の要望にきめ細かく対応しつつ、その一方で多くのユーザーに広く使ってもらえるシステムを開発していく考え。たとえば冒頭のシステムなら全国のコンビニで扱える。「コンビニ向けシステムと同じように全国の中小の工場で使える自動化システムもあるはず。製造業の自動化技術を使って小売業、サービス業にも展開していきたい」と先を見据える。

(写真=2キログラム可搬の川崎重工業製ロボットを用いた「飲料物自動陳列ロボットシステム」(HCIと共同開発))

(2019年11月10日号掲載)