PICK UP 今号の企画

検証MECT2019

―今号(11月10日号)の紙面特集より、ここでは検証MECT2019を掲載―。
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岡本工作機械製作所の全自動研削システム
「SELF」の第4世代の加工デモ

 隔年開催の工作機械見本市「メカトロテックジャパン(MECT)」(ニュースダイジェスト社主催)が10月26日までの4日間、名古屋市のポートメッセなごやで開かれた。過去最多となる477社・団体の出展(うち58社が初出展)に前回同等の9万244人が来場。JIMTOFに次ぐこの大規模展を取材した。

受注状況は悪化だが…

 工作機械メーカーに足下の受注状況を聞くと、日本工作機械工業会の最近の受注統計結果をならったような声がほとんどだ。すなわち「受注は前期比3~4割落ちてきた」という回答が多く、自動車向け専用機メーカーや中国依存度の高いところからは5~7割減も聞かれた。ただ、受注状況悪化とはいえ悲観が過ぎるようでもない。「技術革新が相次ぎ10年ぶりにやりがいがある。来年以降が楽しみ」(DMG森精機)、「一昨年、昨年と他社より成長したぶん苦戦しているが、中国向けは下げ止まっている」(ブラザー工業)、「中国の半導体も底を打って上がる見込み」(アマダ)と。

計測の進化、機上から搬送時も

 高精度加工ニーズの増加とともに計測の自動・高速化が進んでいる。岡本工作機械製作所は全自動研削システム「SELF」の第4世代を発表、12月から発売予定だ。昨年JIMTOF発表時点では10個だったセンサーを22個にまで増やし、新たに「マッピング研削機能」を搭載した。ワークを自動計測(デモでは750点計測)して等高線データに処理し、高い部分から効率よく研削していくことで無駄な空走距離を大幅に無くせる機能で、「形状にもよるが、このデモ加工の場合なら研削時間をおよそ半分まで減らせる」と言う。
 牧野フライス精機は牧野フライス製作所と「工具を整する」をテーマに共同展示した。牧野フライス製作所が昨年のJIMTOFで披露した自動搬送機(AGV)にファナックの協働ロボットを搭載したモバイルロボット「iAssist」は、ワークや工具を機械に自動供給する。今回は、牧野フライス精機の工具測定装置「procam」で加工前の工具測定も自動化した。両社は「理想は測定後の再研削まで自動化すること。金型加工は加工時間が長いため、工具の摩耗が激しい。再研削が自動化できれば機械を止めずにずっと加工し続けることができる」と話す。
 研削盤2機種を出品したアマダマシンツールは、オプティカルプロファイル研削盤「GLS-150GL UP」に2種のカメラによる微細形状測定やデジタル・電動化による段取り削減機能を搭載。さらに協働ロボットを組み合わせることにより、砥石・被削材の自動交換を行い、夜間連続運転ができる機能を初披露した。
 北川鉄工所は搬送しながら内径も外径も測長できる「NPGT」をアピール。デモではロボットがワークを掴んだ時点で内径を±5ミクロンの精度で測長できる。装置単体もしくは閾値を設定するパネルとのセットで本展終了後すぐに販売を始めるという。希望小売価格35万円だが、「ハンドとセンサー、測定機を購入することを考えると安い」と訴える。

大活躍のロボットとAGV

 多様なロボットがあちこちで見られ、機械との距離を縮めている。
 ロボットは旋盤との親和性が高いようす。円柱形状のワークはハンドで掴みやすいからだろう。ヤマザキマザックの「TA-TURN ASSIST」では3爪ハンドでモータケースを想定したワーク搬送を実演した。ヤマザキマザックトレーディングの志村雅人常務は「今春からローカルショーでも提案しているが、反応はとてもいい。大手、中堅、中小、ジョブショップまで規模に関係なく活躍できる。狙うのは段取りも含めたリードタイムの削減。ティーチレスであればそれだけ早く動かせる」と話す。
 中村留精密工業は小型ローダーを付けた対向2スピンドル(刃物台も2つ)複合加工機「WY−150」にパレタイジングストッカー「箱兵衛」(ワークを箱から取り出し加工後に箱に収める)2台を組み合わせ、それらをAGVでつないだ。1台の箱兵衛にはロボットを載せ、バリ取り、エアブローまで実施。「機械の中でバリ取りするとサイクルタイムが伸びてしまうので、ロボットは外に出した。AGVは多品種少量生産に向き、日々ルートを変えられる」と言う。
 シギヤ精機製作所は研削盤とのパッケージ商品をアピール。円筒研削盤GMP-30.30にファナック製ロボットCR-7iA/L(可搬7キロ)を組み合わせ、「セットで4千万円ほどになるが、新たに設計する必要がなく結果的に早く安く導入できる」。
 FUJIはサイクルタイムを短縮した正面2スピンドル旋盤「CSD300Ⅱ」と、ビジョンシステム標準装備の小型多関節ロボット「SmartWing」を組み合わせた。「従来機よりも軽い高速3軸ガントリーロボットを採用したことで、サイクルタイムを21・2秒から17・9秒へ縮めたことなどでトータルで15%のサイクルタイムを短縮した」と言う。
 「導入までのハードルは低く、2、3日で使いこなせるようになる」。オークマの担当者は、旋盤にロボットを内蔵させた「ARMROID」の使いやすさをそう説明した。ティーチングに必要なポイントは4カ所。ストッカ上、機内チャッククランプ位置のローディングとアンローディングを指定すれば、ポイントを結ぶ途中経路は自動的に生成してくれる。
 ブラザー工業の小型MCに一体化させたローディングシステムもSIer要らずだ。「中小で自動化が進んでいないのはハードル(費用、設置、使い勝手)が高いから。そのハードルを一気に下げられる」と言う。自社製ローディングシステムのほかロボットメーカーとのコラボ提案も始めているそう。

ローダーや搬送機構、設置スペース減で有利か

 自動化はロボットだけではない。滝澤鉄工所はガントリーローダー搭載の旋盤を多数出品。「旋盤の自動化にはロボットかガントリーローダーになるが、設置スペースを考えると後者が向く。特に自動車向け生産ラインで需要が増している」と言う。2秒ほどかかっていたワーク着脱時間をTT1100(TTシリーズにはローダーが標準搭載)で1・7秒に短縮。人手不足を補えるため、ローダーがオプションとなる機械でもその採用率が高まっているという。
 エンシュウは立形MCにワーク搬送機構を内蔵した「E―Loader」シリーズを日本初披露し、ワークの搬出入デモを行った。搬送装置はMCの制御装置で駆動可能。「従来、ワークの自動搬出入はMCの前面や側面にロボットを配置したり、ガントリーローダーを取り付けたりする必要があったが、MCとワーク搬送機工を一体化することで省スペース、低コストでの自動化を実現した」(同社)。

ハードの実力さらに、長時間連続加工へ

 近年は機械そのものよりもマシン間の通信、稼動状況把握、予防保全といったICT、IoT絡みの、ソフトを軸にしたスマートな提案がメインの展示として幅を効かせている。が、ハードの実力ももちろん高まっている。
 長時間の連続加工もその1つ。アマダはオプティカルプロファイル研削盤「GLS-150GL UP」に協働ロボット仕様を発表。最大6枚のといしと9個のワークをストックでき、作業者不在の夜間・休日でも段取りレスで連続加工できる。標準品のチャック(エロワ製)を自社でセルフカットして調整することで、砥石の位置決め精度を高めるなど「ミクロンレベルの精度が求められる、研削のニーズにあわせた自動化を勧めていく」とした。
 松浦機械製作所は「5軸機は使い方次第」と自動化セミナー(東日本で年50回以上)などで使い方を提案中。たとえば穴あけして面取りするなら、多面治具を使って8個×6面パレットで48個取りを夜間に行い、昼間は難しい加工をと。単価200円の部品加工でもパレットチェンジャーを付けて1日20時間、月600時間稼動できれば採算が取れるという。
 安田工業は長時間自動運転での安定性を強調する。「瞬間で高精度が出せてもダメで、また壊れない機械づくりを目指している」と言う。素材については、航空機の耐熱合金を睨み難削材に対応した横形5軸は高精度と高剛性を両立し、加工面品位の高さと工具寿命が長いことを訴える。
 西部電機の水加工液仕様ワイヤ放電加工機「MEX15」は細線仕様。細線は通常0.3~0.1ミリ径だが、本機は0.07~0.03ミリ。「0.03ミリは他社もやり始めたが、本機はワイヤの供給がスムーズで医療機器などの部品加工に適する」とする。同社のワイヤ放電はおおむね自動化仕様で、スタートさせれば夜間運転で完成までもっていける(加工物の中子を自動で切り落とすオプション機能も)。

機械幅もっとスリムに

 高松機械工業はガントリーローダー付き立形旋盤「XV−3」、「XT−8」などを出品。XV−3は1つの土台に小幅な3台が均等に並んだ構造で、ユニットは内部の搬送装置でつないた。搬送装置にはワーク反転機能を持たせ、ワークの表裏を連続的に加工可能にした。スリムな機械を数台並べてライン構築できるものはあるが、3台分が1台になったものは珍しい。「間口を狭くできることと、プログラムにより各加工でうまくタイミングをずらして高効率生産に導けることがメリット。土台が1つなので振動が伝わりやすいというデメリットもあるが」と言う。
 機械幅の縮小も進む。シチズンマシナリーは主軸台移動形CNC自動旋盤「Cincom L20XII型」の専用オプションとして、斜め加工を行うB軸ツール向けのATC(自動工具交換)装置を初披露した。「自動旋盤でATC装置をここまでコンパクトにできたのは当社のみ。しかも、機械を止めずにわずか4秒での工具交換を実現した。これまでATC付の専用機が必要だった医療や精密など複雑形状部品の加工工程を集約しやすくなった」と自信をみせた。

AM活用例が続々

 AM(積層造形加工)機は精度に優れるパウダーベッド式とスピードがウリのパウダーノズル式が揃う。両方をラインナップするDMG森精機は大~小型のそれらをPRしつつ、2年ほど前からAMで製造した機械部品の製品への採用を進めている。実際の採用例としては研削盤の冷却水ノズル(水が流れやすい曲面形状で、構成部品を従来の12から1部品に減らした)や超音波加工機のクーラントリングノズルなど。レーザーが通過する部品は熱くなりやすいのでAMでハニカム構造をつくり放熱しやすくした例もあるという。
 牧野フライス製作所はマキノジェイが開発したAM工具を披露した。内部をハニカム構造とすることで強度を保ちつつ軽量化を実現。「電気自動車のモーターコア関連部品では、穴径160~180ミリレベルのボーリング加工が必要になる。従来、そうした大径工具は重すぎて40番マシンのATCに搭載できず、50番マシンが必要だったが、AM工具は軽量なので40番マシンでも搭載でき、50番並みの加工が可能になる」。
 松浦機械製作所のAM機「LUMEXシリーズ」は累計出荷100台ほどになった。同社は「ユーザー側で最近ようやく採算が取れるようになってきた。というのはこれまでリピート注文が少なかったが、リピートの引合いがここにきて出始めた」と言う。

刃物形状見直し、深穴・傾斜・難削材に対応

 刃物の進化で深穴を加工しやすくなった。「刃先交換式ドリルで7D(刃径の7倍)までパイロット穴なしで穴あけできるのは業界でも初めて」と話すのはサンドビックのスタッフだ。展示したのは、10月に発売したばかりの「CoroDrill DS20」。「ダブルステップテクノロジー」の名称で、中心刃から外周刃の順に食いつくことで径方向(Y軸)の切削抵抗を小さくした。4Dを超える突き出しでは、ボディ本体の剛性(曲げ・ねじり)も重要な要素になることからフルート形状を見直し、スパイラルと直線を組み合わせた。
 高硬度鋼用、深穴加工、小径ドリルと続々と新製品を並べるオーエスジーのブースに異彩を放つ仕上げ用ボールエンドミルがあった。参考出品の複合R形状異形工具「PolyBall」がそうで、異なる刃先角度を複数設け、1本で様々な傾斜面と曲面に対応する。大きなR部分で使うことで、大きなピックと少ないカスプハイトでの加工を可能にした。
 金型の高能率加工に取り組む三菱日立ツールは、大型金型の荒加工向けに最適な刃先交換式のアルファ高送りラジアスミル「TD6N」形を紹介した。高能率な加工と削り残し量の低減を両立させた同製品は、中大径(50~125ミリ)の高送り工具において1ミリ以下の削り残し量を実現した。
 日進工具は新製品の無限コーティングプレミアムSUS用高能率「Z」エンドミルを発表と同時に発売した。共振現象を抑える不等分割・不等リードの採用により、「難削材加工の概念を大きく変える画期的な製品に仕上がった。加工硬化によって折れやすいステンレス鋼の加工でも、ドリリング・横引き加工ともに加工を大幅に効率化できる」と自信をみせた。