連載

2019年11月25日号

フレアオリジナル、仮想現実(VR)で設備投資前の現場をシュミレーション

国内メーカー全てのロボットに対応

 物流倉庫内でティーチングを終えた不二越製の4軸パレタイジングロボット「LP-210」が、最終チェックを終えて満を持す――。
 「蟻のひと噛み巨象を倒す」ではないが、わずか社員6人のSIerが、大手メーカーとのコンペに勝ち、大型案件の受注に漕ぎ着けた。そのカギとなったのがVR(仮想現実)を活用したプレゼンテーション。応接室に仮想現実で設置した自動化ラインへ、クライアントの社長を飛び込ませた。
 VRゴーグルには工場にラインを設置したイメージがはっきりと浮かび上がる。設備の側面や背面はもちろん、上方から俯瞰で見ることも可能。あたかも製造現場を自由自在に飛び回りながら、新規導入設備をチェックできるというわけだ。
 「図面だけ、CGだけでは伝わりきらない部分が分かって頂けるので、クライアントからも好評。事前にシミュレートしながら、全体のシステムを細部まで煮詰めることが出来るので、あとから『ここをちょっと直して欲しい』といった作業が格段に減った」
 こう語るのは、同社の田中陽一郎社長。自ら構想・設計からプログラミングまでをこなす傍ら、同社の営業マンとしてVR機材を携え、クライアントとの折衝をこなす。
 そんな田中社長が生まれ育ち、社屋を構えるのは長野県・坂城町。昭和16年に宮野鑢工場(現アルプスツール)の工場誘致を皮切りに、続々と製造業が進出。現在も幾多のメーカーが軒を連ねる県下有数のモノづくり地域だ。
 両親ともに製造業に従事していたという田中社長にとって、モノづくりは幼い頃から身近なものだった。やがて自らもエンジニアとして活躍、次第に勤務先で手掛けていた案件では飽き足らず、さらに一歩進んだ自動化提案を行うようになった。「自分で営業して仕事を取り、構想、設計、プログラミングするというサイクルだったので、勢いで独立してしまった」。

ロボットで社会貢献を
 同社のこれまでの納入実績を見ると、安川電機製ロボット3台を連携させた溶接自動化システム、ヤマハ製ロボット複数台によるワーク組み付け・ネジ締結システム、ファナック製ロボットによる成形機の自動化、エプソン製ロボットによる画像検査システム等、特定のロボットメーカーにこだわらない柔軟さも窺い知れる。
 「ロボットにも得手不得手や、コストの問題もある。業種や予算によって、柔軟に組み合わせて製作できるのが弊社の強み。同じ目的の装置を作るのでも、人によってぜんぜんアプローチが違うし、アイデア次第でどうにでもなる。とことん発想力を試されるのがこの仕事の醍醐味でもあり、面白いところ」
 田中社長にはロボットを製造業だけではなく、農業や介護など身近な生活にも役立てたいという夢がある。現在は過疎化が進む地域に、ロボットによる遠隔操作を活用したソリューションを産学官連携で実証実験を行っている。
 「5Gネットワークが構築されることで、リアルタイムで精度の高い動きをロボットができるようになる。高齢者や体の不自由な方でも、積極的に社会参加できるようなロボットシステム作りをしていきたい」

(2019年11月25日号掲載)