コラム

2019年12月10日号

 はや師走。流行語大賞や、漢字1文字で世相を表す「今年の漢字」など、言葉で一年を振り返ったり、時代を表現するイベントが年末の風物詩的に今年も巡っている▼一方、ビジネス社会で時代感を表す言葉を見ていくと、最近はずいぶん横文字が増えたなあ、との印象だ▼例えば自動車産業でMaaSやCASE。国際社会が目指すSDGs。世界の不透明性はVUCAか、といった具合。取材先で話題になり知らなかったではアウトだから、付け焼刃で解説書を読み、知たり顔で質問をしたシーンも正直あった▼それはそうと、MaaSもCASEもSDGsもVUCAにしても、決して新言では無い。3年~20年以上も前に採択・提唱されたキーワードが、よく熟成したように今になって使われている(逆に手垢のついた古臭い言葉と取る専門家筋も多いだろう)▼これらアルファベットの頭字語が、時間を経てよく使用されている背景には、ある種の思考を重ねた末「やはりこの言葉に行き着いたナ」という物語が隠れているはずだ。それだけ相当の意味を持つ言葉と捉えるべきか▼本紙の編集デスクが今年ドイツを訪ね「もうインダストリー4・0とは言わなくなった」と述べたのも興味深い。現地ではいま「デジタルツイン」(これもやや熟成した言葉!)で次世代製造を表現することが増えているという▼言葉選びに汲々とするなど御免だが、何故その言葉がいま表舞台に上がっているのか。視点を変えながら考えると、世界の未来が少しだけ見える気がする。

(2019年12月10日号掲載)