連載

2020年1月1日号

建物外装用のアルミ手すりに特化

ニッチ世界で業界トップ狙う
サンレール[手すり製造]

岐阜県不破郡

 

 

 建物外装用のアルミ製手すりと、その上部に据える意匠性重視の笠木。ここに特化したメーカーとして、大手の寡占が進む住宅設備分野で存在感を光らせるのがサンレール(廣瀬良弘社長、従業員約300名)だ。同社のモノづくりは、アルミ材を仕入れ、切断し、複数の金型をテーブルに置けるワイドプレス機を使った順送式のプレス加工や、NC加工機で製品化するという「この業界ではごく当たり前の工程」(廣瀬社長)を踏む。だが、そこに一味、ふた味違う取り組みが隠れていて、同社の成長を下支えしていた。
 サンレールが得意とする「建物外装用の手すり」は、一般住宅用も含むが、量的にビルのバルコニーやベランダの手すりが中心。高層マンションを遠めからみると、ほとんど1階から最上階まで同じ手すりでデザインを統一していることが判るが、であれば大量生産が効きやすい世界かというと、「手すり」にとって実はそうではない。
 建物の許容内の精度誤差が、ある種のしわ寄せとなり、工事終盤に敷設する各階の手すりは「寸法」や「角度」で微妙な調整が余儀なくされるというのだ。
 同社工場の一角に、「く」の字の形をした手すりの仕掛り部品が複数並べてあったが、その「く」の部分の角度はほぼ0.03度の枠内でまばらに、微妙に異なっていた。「ビルの低層階と高層階ではどうしてもサイズや角度が変わってきます。だから設計図通りに作りつつ、実際に現場へ行って採寸し、最適な手すりに正して出荷します。現場の方が分かりやすいよう、通常、各手すりに○階用などと書き入れてお届けしていますよ」と廣瀬社長。ここまで手の込んだ仕事のため「大手を含め、ライバル社がなかなか本気で乗り出してきません」(同)。

■ビルの顔、安全最優先で
 全国の設計事務所を対象に行なった調査機関のアンケート「採用したい建具工事」の手すりの欄では、売上高数千億円~1兆円を超す大企業を追うように同社の名がベスト10位に入っている。このアンケートは、トイレの手すりなど室内用も含んでおり、廣瀬社長は「外装用に限れば、もっと上位かも」と少しだけ笑った。
 廣瀬社長は「手すりはマンションの顔」との自負を持つ。「出張先や旅行先で当社が手すりを提供したビルを見るのは楽しみだし、励みになる」そうだ。
 そんな同社だが、モノづくりにおいては課題も残る。
 創業1972年、あと3年で半世紀。BL優良住宅部品対応を主力とし、手すりと笠木を一体化したカサレール(商品名、1981年~)はじめロングセラー商品が続き、この10年で売上高を倍以上に伸ばした。しかし「製造工程は昔からそうは変わっていない」(同)と真顔で話す。「一品一様の調整が入る為、自動化は難しい。受注生産のスタイルも変えていません」(同)。
 それでも、切断・穴あけと複合機能を持つ長尺加工機(フジ産業製)を、本社とつくば工場(茨城県常総市)に相次ぎ設備して生産の効率アップをはかるなど、近年、打つ手は継続的に打ってきた。
 「正直、なかなか人海戦術から抜けきれません。しかし一方では人のノウハウが積み重なってここまで来たと思っています。手すりは美観も大事だけど、役割は墜落防止。安全性をしっかり担保できるのも、人がいるからです。弊社では品質と同じ意味合いで、人質(じんしつ)という言葉を用いていますが、これは人(社員)の質の高さが、安全で満足を与えられる商品提供につながるとの意思を込めたものです」(同)。
 去る12月11日から東京で開催された「第4回高性能 建材・住設EXPO」では、柱を太くした高層ビル用の高強度手すり「ARASHI(嵐)」を初公開した。「柱間を狭くすれば強度は上がるけど、見栄えが悪くなります。そんなトレードオフの関係のなかでわが社なりの形を提案しました。来場された設計事務所やマンションデベロッパーの方から高い評価を頂き、今後採用を検討していきたいと好評でした」(廣瀬社長)。
 アルミは施工性にまずまず優れ、劣化もしにくい。また軽い為に建物に負荷を与えにくい。こうした特質からアルミは手すり材料として今後も有望視される。そんななかで安全、品質、美観、施工性、あるいは納期と様々な要求に応え、同社は「建物外装用アルミ手すり」で業界トップの確立を目指す。

(写真=斜め方向からのネジ穴を職人技で製作(上)の一方、複合機など効率化に向けた投資にも力を入れる(下))

(2020年1月1日号掲載)