オヤジの喜怒哀愁

2020年2月10日号

寒仕込み味噌

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 暖冬で今年は春の訪れが早いようだが、いまは1年を通して一番寒い時で、酒、味噌などの発酵食品はいまからが仕込み本番だ。
 近所に地元の人なら誰でも利用できる立派な食品加工施設があって、そこで我が家の自家製味噌を作っている。こうじをつくるための発酵機など味噌づくりの設備が整っている。とはいえ、1年1度、あるいは2年に1度のことなので忘れていることのほうが多い。詳細なマニュアルと先輩たちのアドバイスを頼りに作業を進めることになる。
 味噌づくりの工程は4日間にわたる。1日目は夕方米をといで水に浸す。2日目は米を蒸し、こうじ菌の種付けをして発酵機にセットする。3日目はこうじの切り返しを午前、午後の2回行い、乾燥大豆を洗って水に浸しておく。4日目は圧力釜で大豆を蒸し煮にして、その後大豆、こうじ、塩を混ぜ、つぶして樽に詰める。
 気温が低いこの時季は雑菌の活動が低調なため、仕込んだ味噌が腐敗しにくい。こうじ菌を繁殖させるにも他の菌は元気がないほうが有利だ。味噌づくりの間は家で納豆を食べるのが禁止される。納豆菌はとくに強力で、大豆が味噌ではなく納豆になってしまうことがあるという。
 また、低温でじっくりとゆっくりと発酵、熟成させたほうが味がよく、出来上がりの品質も安定する。味噌は寒仕込みに限るわけである。

チームプレーで
 4日目にできたこうじの味は。少しかび臭いが甘くてとてもおいしい。米のデンプンをこうじ菌が糖に分解するとなるほどこの味かと思う。左党としては米こうじを使って味噌ではなくドブロクにしたいところだ。
 樽詰め前の味噌もつまんだらこれは塩っぱい。当たり前だ。塩がどっさり入っているのだ。この塩も腐敗菌の増殖を妨げ、こうじ菌の繁殖を助ける。味噌の保存がきくのは塩のおかげである。
 はじめのうちは段取りが悪かったけれど、途中から段々と思い出して調子が出てきた。終わりのほうは手はオートマチックに動くようになる。しかし、疲れて無口になる。
 それでも味噌づくりは楽しい。梅干しづくりと並ぶ時代錯誤的我が家の重要事である。家人と交代で万難を排して臨んだのだが、どうしても都合のつかない時間もあってチームを組んだ方々には随分とお世話になった。

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