PICK UP 今号の企画

物流の「稼ぐチカラ」

危機打破へ、最新機器・サービス続々と

―今号(2月10日号)の紙面特集より、ここでは物流の「稼ぐチカラ」を掲載―。
27831
 「物流」が荷主企業の経営を大きく左右する時代が到来した―と言ったら言い過ぎだろうか。いや、深刻化する「物流クライシス」の現状をみても、決して誇張表現ではなさそうだ。8ページにわたる今回の大型マテハン特集では現場の省人化・省力化を導くマテハン機器の最新動向のみならず、ロボット・AIの活用、3PLや配送シェアリングなどを含め、総合的な視点から物流の「稼ぐチカラ」に迫った。
 ここ数年の物流にまつわる環境変化はあまりに急だ。ネット通販の拡大で小口多頻度の物流が急増する一方で、トラックドライバーや構内作業員は確保が益々難しくなり、サービス残業と再配達ロスが社会問題化。大手宅配会社は強制的な値上げと発送の総量規制を求めるまでに追い込まれた。結果として、事業撤退やリストラを余儀なくされた通販企業も少なくないという。
 こうした物流クライシスの打撃は通販分野に限らない。物流業界の最新動向に詳しい東京海洋大学の黒川久幸副学長(理事・教授)は、輸送運賃の急上昇により赤字転落した食品製造業の事例などをひきつつ、「安価な物流費に支えられてきた生産・販売体制は、もはや成り立たなくなった」と指摘する。
 荷主企業の物流コスト増の傾向は明らかだ。(公社)日本ロジスティクスシステム協会が19年7~11月に行ったアンケート調査では荷主企業203社の93.1%が「値上げを要請された」と回答している。主なコスト増は輸送費(184社)と荷役費(92社)。値上げ要請を受けた企業の割合は前年調査から約5.2ポイント増加した。
 物流の値上げトレンドは止まりそうもない。残業規制を強める働き方改革、深刻なドライバー不足、「時給2000円」の高額で倉庫業の人手をかっさらうアマゾンなど大手の動きを考えれば自明だろう。
 こうした物流クライシスの打撃を跳ね返す力が、「物流改革」に求められている。黒川教授曰く、「物流改革による物流費の削減は、直接営業利益に貢献する。『稼ぐ力』を高める物流改革に注目が集まっている」のだ。

機器市場は最高額更新へ

 「稼ぐチカラ」を求めて、物流現場の省力化・自動化を実現する物流システム機器の売上も伸びている。業界団体の生産出荷統計(19年8月発表)によると、18年度の物流システム機器の総売上高は過去最高の5859億円を記録した。前年度比約27%の伸び。受注は引き続き拡大しており、米中貿易摩擦の余波で他産業の多くが冷え込んだ19年度も過去最高売上を再び更新する見込みが強い。
 機種別にみて18年度の売上で大きく伸びたのは、台車系(62%増)、垂直搬送機(39%増)、仕分け・ピッキング系(28%増)、自動倉庫(22%増)、パレタイザ・デパレタイザ(31%増)などがあった。
 自動倉庫や自動搬送・仕分けシステム、ロボット、AI・IoTソリューションなど「次世代物流システム」に絞れば、その成長性はさらに大きく広がっている。富士経済の調査によると、次世代物流システム機器(合計26品目)の国内市場と日系メーカー海外実績は、19年見込みで前年比7.7%増の4631億円。2025年には18年比2.1倍の9232億円にまで成長すると試算されている。
 同調査では次世代物流「ビジネス」の市場も25年に18年比約95%増の3660億円にまで伸びると予測している。
 国交省が17年7月に定めた「総合物流施策大綱」でも物流クライシスを打破する様々な施策が推進されている。大綱が特に強調したのは「企業間連携」。積載効率が4割まで落ちた営業用トラックを共同配送などでどう生かすか。そしてデジタル・ロボット技術を駆使した大規模物流倉庫をいかにシェアして効率よく使うか―荷姿やデータ処理の標準化を含め、連携の行方が物流の「稼ぐチカラ」を高めるキーポイントになりそうだ。