識者の目

アジア人材との良き協働のために

なぜ外国人技能実習生か?

 日本では少子高齢化で国内労働人口減少、地方の製造業では求人しても若者が来てくれない。原因は労働人口減少だけではない。3K(きつい、危険、汚い)職場で、さらに3K(給料が安い、休暇が少ない、過疎地で生活を楽しめない)状況の製造業では、若者は来てくれない。対策として行われているのが、外国人技能実習生受け入れである。本来の「技能実習」として受け入れるよりも、3K職場で3K状況でも働いてくれる「ありがたい労働力」として受け入れている。政府もその現状を知りながら、受け入れ条件を緩和、受け入れ人数を増やそうとしている。

外国人労働者が労働力不足解決になるか?

 今、時代は大きな転換期に入っている。目先の対応ではなく、長期展望に立って対策を考えないといけない。まず10年先の2030年、自社事業が日本で生き残っていけるのか、海外での製造拠点を考えないといけないのか、(あるいは廃業を考えなければならないのか)等を検討しなければならない。同時に、3K職場のデジタル化(AI+ロボット化等)を図り、競争力を高める必要がある。それでも製造現場では、人の作業が必須な部分が残り、熟練技能者も必須となる。それらを押さえた上で、外国人材の必要性を考えてみることが必要である。とりあえずアジア人材の受入れを試みて、上記検討を進めるのもよいかもしれない。

外国人技能実習生の実態

 日本在留外国人労働者は技能実習生だけではないが、製造業現場では技能実習制度利用が多い。図に国籍別技能実習生数の年次推移(2011-2017年)を示す。注目すべきは、ベトナム実習生の急激な増加と、中国実習生の減少である。中国では高齢化が速いスピードで進み、豊かになってきたこともあり、中国国内での労働力需要が増加、今後は逆に中国での外国人労働力需要が高まる。中国だけでなく、国際的に余剰労働力は減少、外国人労働力の奪い合いが始まる。その中で、日本の給与水準は国際的に高くなく、働く場所としての魅力評価も低い。今やるべきことは、『まだ日本に来てくれている』外国人技能実習生を、安い労働力と見るのでなく、日本人がやりたがらない現場で働いてくれることに感謝し、待遇を良くして、日本人と働きたい若者のファンを育てることである。
 外国人技能実習生受け入れ手続き、受入れ後のフォロー等を自社で行うことは難しい。それで一般には、日本国内の監理団体資格を有しているところに依頼する。監理団体は研修生を確保する送り出し機関と連携、日本での法務局への手続き、研修生の日本国内での世話、機構の監査への対応等をしてくれる。もちろん管理団体はそれをビジネスとして行っており、技能実習生受入れ企業としては、良き管理団体を選定しなければならない。一方、良き管理団体側も、受入れ企業の選択を行っている。初めて技能実習生を受け入れる企業にとって、この良き監理団体をどう見つけるかが問題である。

本連載で共に考えたいこと

 今回、NPOアジア金型産業フォーラム(橋本久義理事長)に「外国人材受け入れによる製造業の人材確保」調査研究部会を発足させ、その中での検討結果を、本紙アジア版で連載させていただくことになった。
 外国人技能実習生というと、人権侵害や過酷労働、実習生の逃亡など、マイナスイメージ報道が多い。本連載では、受け入れ企業・実習生共にWin-Winの関係を築いているアジア人材受け入れ成功事例を紹介する。
 成功事例紹介は、受入れ企業が支援監理団体の見つけ方を含め、技能実習生受け入れの参考となるようにしたい。人材確保に困っている製造業経営者のお役に立てば幸いである。

オフィスまえかわ 代表 前川 佳徳(NPOアジア金型産業フォーラム「外国人材」調査研究部会)

同志社大学大学院工学研究科および神学研究科終了。工学博士、神学修士。大阪府立産業技術総合研究所研究員、大阪産業大学デザイン工学部教授を経て、現在オフィス・まえかわ(ものづくり企業支援)代表。製造業のアジア(とくにタイ)展開支援を行っている。タイAlliance for Supporting Industries Association 顧問、日本・インドネシア経済協力事業協会顧問、日本キリスト教団伝道師などを兼務。専門はCG/CAE、デジタルものづくり。型技術協会元会長、現名誉会員、自動車メーカー・部品メーカーとのネットワークに強い。