コラム

2015年1月1日号

 謹賀新年—。お正月の朝一番は、ピンと張りつめた冷たく澄んだ空気があって、いつもすがすがしい気持ちにさせてくれる。山や海で初日を拝んだり、一晩以上をかけて仲間と70㌔ほど歩き、その地区で有名な神社へ初詣に繰り出したしたこともあった▼でも、記憶としてより強く残っているのは子供時代の家族の元旦だ。ストーブの火力がまだ部屋中に行き渡らない朝の早いうちに家族が集い、格式ばったような、照れくさいような挨拶を交わす。着座してお屠蘇を回し、お雑煮の湯気が上がる頃、体も気持ちもだんだん暖かくなる▼酢の物、数の子、昆布、蒲鉾、ごまめ、ナマコ、揚げ物、煮しめ、きんとん、黒豆、淡雪…。重箱に盛った母の手作りのお節をこっそり選り分けて食べ、「お餅を食べ過ぎないように」とお約束のように書かれた友人の年賀状を読む。どれもが毎年の定番パターンだったが、いまは温かい、不思議と新鮮な気持ちで振り返ることになる▼だからか、雨の正月もあれば吹雪いていた時もあったはずなのに、記憶のなかの正月はいつも凛と晴れ渡っている。恵まれていたんだと、感謝の気持ちがガラにも無くじんわり湧く▼そういう暖かさを今度は周囲に還元せねばなと思う。近所の子に声をかけるとすぐ警戒されてしまう世知辛い社会、人の距離がどんどん広がるが、それでも小さなできることをサラリと上手に行いたい。人との触れ合いのなかで充実した良い一年に、感謝の気持ちが溢れる社会になればと思う。