コラム

2020年3月25日号

 映画の黎明期に出た名作「戦艦ポチョムキン」(1925年、露)。共産主義的映画として西側諸国で上映禁止が相次いだことでも知られるが、民衆の蜂起を題材にしたこの映画を昔観て、反乱のキッカケが艦上での食事のひどさにあったことを覚えている▼皿の中の腐りかけた肉に水夫たちの怒りが爆発し、それが市民の反乱につながって、官憲が容赦ない武力鎮圧に乗り出す。結果が大暴動だ。思想とは違う剥きだしの怒りが原動力にあり、その怒りを招いたのが「腐った肉」という設定が、ユニークで怖くもあった▼コロナウイルスもこの「腐った肉」に似た一面がある。たかがと思えるもの(肉、ウイルス)が社会を脅かしている点で同類だし、ともに世の中の脆弱性を知るファクターになった▼今は何よりコロナウイルスの収束が待たれるが、同時に、直箸やハグなどの身近な習慣の見直しから、グローバル社会の後退懸念、責任論が招きかねない国家間の関係悪化など、間接的な影響や後々の動きも気になる▼他方、テレワークという懸案事項が思いがけず進みだした、会議を減らすなどムダ取り改善ができたといった割と前向きな話も混じりだした。今を契機に5Gで仕事改革を進めようという企業。グローバルサプライチェーンの中断に対応し、仕事機会を狙って攻めに向かう会社…▼ウイルス発生の「前と後」で、色んな何かが変わりだした。目下は終息に向けた努力が最優先だが、先々のことも見据えたい。