オヤジの喜怒哀愁

2020年3月25日号

紙マネー

28000

(この記事はフィクションです)
 NY株式が歴史的な乱高下に見舞われている。各国が協調利下げに踏み切った直後の週明けには過去最大の下落幅を記録、マーケットから強気の声は消えた。主要産油国の増産が伝えられたことも手伝って原油価格が大幅に下げ、為替市場も不安定な動きを続けている。金融市場は世界的パニックに陥っている。
 安全資産である米国債が買われる一方、投機資金はトイレットペーパーに向かっていると見る向きは多い。市場関係者は言う。「NY株で売りに回ったヘッジファンドが目先、トイレットペーパー買いに走っています。有事に強いとされてきた金相場の値動きが今ひとつということもあって、大口待機資金の受け皿として期待を寄せているようです」
 べつの関係者は言う。「有事に強いトイレットペーパーの歴史は古く、1973年10月のオイルショック時には瞬く間に店頭から姿を消し、品薄感から価格が高騰しました。スーパーの前に長い行列ができたほどでした。トイレットペーパーがないためべつの紙を代用した有名なマラソン選手もいましたね。その後も大きな災害が起こるたびに同じような現象が起きています。オイルショック時には在庫が正常化するまで約半年かかったこともあって当面、買い安心感を誘っているようです」

塩漬けの紙
 中東オイルダラーがトイレットペーパーを買っているのは間違いないという市場筋。ドルを売ってトイレットペーパーに乗り換える動きも出ているという。
 さらに、こうした動きは大口資金に限ったことではない。商品先物関係者の話だ。「昔は相場格言に『素人は小豆とトイレットペーパーに手を出すな』と言ったもんだが、今は素人が現物を買ってどんどんネットで売れるから個人投資家の資金もかなり入ってきているよ」
 匿名を条件にあるトイレットペーパー闇取引業者に話を聞くことができた。「あんたが思うほど楽な商売じゃないさ。なんせ現物取引だから買った紙を倉庫にしまっておくわけだ。その家賃だってバカにならない。先入れ後出しだから倉庫の奥の方には47年前に塩漬けになったトイレットペーパーがまだ眠っているよ。ミシン目なんかない奴よ。今度の大相場で全部はけるといいんだが…」