コラム

2020年5月15日号

 人の価値は試練に立ち向かい、困難と戦っているときにわかる―。かつて米国公民権運動を指導したキング牧師の言葉だ▼ウイルス問題で精神的にも経済的にも試練と困難が続き、この言葉が重い。政治家などは、コロナ対策に絡む評価ランキングなどで改めて価値が問われている▼そうしたなか、少し気になったのは、国際的調査ネットワークのGIAが去る4月、日本を含む世界18カ国を対象に実施した「コロナウイルスに関する国際世論調査」の結果だった。日本人の回答は、政治を見る目が相対的に厳しかった反面、どこか自己中心的で認識の遅れも垣間見えた▼「自国政府はコロナウイルスにうまく対処していると思うか」の問いに「そう思う」の回答は18カ国の平均で69%だったが、日本は19%と低く18カ国中17位▼一方「ウイルス拡散防止に役立つなら自分の人権をある程度犠牲にしても構わないか」の問いに「そう思う」と回答した日本人は40%で、18カ国中最下位だった。平均値は81%。世界では自身の人権を犠牲とすることを厭わない人がマジョリティだ▼「パンデミック終了後の世界はどうなるか」の問いでは「大きく変化し、まったく新しい世界のようになる」の回答割合が日本において最も低かった。日本人は「ウイルス大流行以前の世界にほぼ戻る」が多数を占めた▼この結果をどう読むべきか。多くの日本人が複雑な思いを正直に回答した結果なのだろうが、考えさせられる。