連載

2020年5月15日号

豊通テック、トレーサビリティーを付加

外観検査を速く正確に

 80センチ角ほどのごつごつした、いかにも重そうな自動車のトランスミッションが回転し続ける。それを6軸アームに取り付けられたカメラが上から下からと位置・角度を変えながら照明を当てて次々に撮影する。45カ所の撮影はわずか16秒で終わるという。豊通テック(愛知県豊田市)が2013年にトヨタ自動車北海道と共同開発した外観検査システム「VISION SPECTOR」だ。
 この外観検査は元々は人が手作業で30~40秒かけて行っていたが、デンソーウェーブのロボットの活用で25秒に短縮。17年にはアームの動きを止めずに撮影できるよう改良したことで16秒に縮まった。自動化により手作業の半分に縮まったということではない。
 「ロボットを使った撮影は速いので検査個所がどんどん増えた。検査結果にトレーサビリティーを付加できるのでお客様の満足度も高まっている」
 同社のシステムインテグレーション(SI)部はそう話す。豊田通商がもつ1千社以上の子会社・関連会社の1社である豊通テックは、ともにSI事業を担うトキワエンジニアリング(1947年設立)と豊通テクノ(78年設立)が2年前に合併してできた古くて新しい会社だ。主に自動車向けの部品試作・量産製品、生産設備を手がける。SI部は画像検査、表面処理、組立用の装置を扱う。今回は外観検査装置VISION SPECTORに注目した。
 この検査装置は共同開発したトヨタ自動車北海道への納入を皮切りにトヨタ本体などにも導入。ロボット、パソコン、回転テーブルなどを含めた装置一式の価格は2000万~2500万円。これまでに50台弱納めたという。
 検査の自動化のメリットは速さのほかトレーサビリティーがある。SI部によると「一例として挙げると、自動車メーカーから出荷後に部品が曲がっていたことがあった。出荷前の検査画像を確認したところ、その不具合は出荷後に発生したことの証明になった」と言う。

大型部品も視野に
 同社が最近提案しているのはAI(人工知能)機能の付加だ。撮影による外観検査は万能というわけではない。たとえばエンジン周辺の配管とホースを固定する円形クリップの取り付け位置には幅があり、設置角度の決まりもない。締め付けボルトの回転位置も同様だ。要は取り付け作業者によりクリップやボルトの位置・角度は微妙に異なり、それによって画像としての見え方は光の反射などで大きく変わることがある。「見え方が変わっても人ならクリップやボルトだと認識できるが、自動検査だと異物と見なすことが少なくない」。そこでAIにこんな形のものはクリップだ、ボルトだと幅をもたせて認識させてやろうと試みている。AI付き装置の納入実績としてはまだ1件だが、自動検査の弱点をカバーでき、またパソコンをグレードアップすれば後づけもできるので提案強化中という。
 これまでの主なターゲットは1㍍角に収まる自動車部品だったが、検査の精度をあげるにつれボンネットや計器パネルの樹脂ボードなど大型部品のほか、建機や航空機分野も視野に入れ始めた。

 

(写真=VISION SPECTORでトランスミッションを外観検査するようす)