連載

2020年6月25日号

両手に載る金属部品なら何でも加工

ベンチャーと町工場をつなぐ

成光精密[機械・電気部品の試作]

大阪市港区

 量産を見据えた初となる準国産のハイブリッドドローン「Aerorange pro」(直径約1・8㍍、最大積載10㌔グラム)の生産が今年12月に始まる。エンジンで発電した電気を使い、飛行時間3時間、飛行距離120㌔を誇る。バッテリーのみを用いた一般的な機体の航続時間は10~30分程度だからその飛行能力は群を抜く。Aerorange proに使われるアルミ製接合部やモーター躯体などを加工するのが試作会社、成光精密(2001年創業、社員24人)だ。部品の質量は飛行距離に直結し、また量産も見据えるため高い加工精度と安定性が求められる。「両手に載る金属部品なら何でも加工できる」(高満洋徳社長)能力を見込まれたようだ。
 町工場が集まる大阪市港区。弁天町駅から北東へ10分ほど歩くと金属の加工音が聞こえ、トラックが頻繁に行き交う。訪れた本社(80坪、主にマシニングセンタ〈MC〉加工)のほか同区内に市岡工場(45坪、主に旋盤加工)をもつ。同社は自動車・電機・医療分野などで使われるあらゆる専用機部品(金属)を加工する。加工物の9割は1~5個だけの生産。新型コロナウイルス感染拡大の影響もあって、ベンチャー企業からの依頼が売上高の20~25%を占めるようになったという。
 2014年以降にオークマ製5軸MCや韓国Doosan製4軸MC、ミツトヨ製3次元測定機などを導入。また工場内を一定温度に保つため24時間空調管理を始め、精密加工へ事業領域をシフトした。高満社長は「3軸(制御)では加工できない注文が入るようになった」と言う。

■治具を巧みに扱う
 精密な試作部品の加工を可能にしているのは治具だ。「5軸機でワンチャッキング加工するにも、ペラペラのアルミ加工にも治具が必要。どうクランプし、サポートをどこに入れてビビリを抑えるのか。刃物の回転と応力のかかるワークの送りをどうするか。このあたりのノウハウが当社の強みでしょうかね」と笑う。
 治具には汎用治具(市販品)と専用治具(都度つくり使い捨て)を用い、この2つを組み合わせもする。図面は月に300~400枚扱うので、専用治具を100点ほどつくらねばならない。専用治具はその仕事が終われば無用になるため都度廃棄することになる。
 「課題は専用治具の製作を減らすことでしょうか。職人としての技量が高まれば高まるほど、常に治具をつくろうとしてしまいがち。でも保有する汎用治具を組み合わせて使うことができればムダがなく、製品のコストダウンにもつながる」
 町工場の衰退を危惧する同社は、アイデアをもつベンチャー企業とカタチにする町工場をつなぐための拠点「Garage Minato」を本社2階に設け、2018年から運営する。Aerorange pro事業もこれに絡む。「上流企業に依存しすぎると横のつながりが薄れ、価格競争にも巻き込まれる」。そんな従来構造を変えようとする。