オヤジの喜怒哀愁

2020年6月25日号

キウイとミツバチ

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 キウイはニュージーランド産が春から夏にかけてスーパーに並ぶので夏の果物と思っている人がいるかもしれないが、南半球のサンタがサーフィンしているのと同じことで冬の果物だ。
 国内では11、12月が収穫期になり5月に花が咲く。雌雄異株なので株を1本植えても交配できず実が成らない。雌花は雌株に、雄花は雄株にしか咲かない。雄花は雌花より一足早く咲いて雌花が咲くのを待っている。そうして雌花が咲いてみんな受粉し終わるのを待って一足遅く散る。仕事終えた雄しべは干からびて枯れていく。それが自然の摂理というものなのだろうが、先に咲いて後で散っていくキウイのオスはなかなか紳士だなあと感心する。
 雌株、雄株が揃っていてもなかなか交配しにくい植物のようでキウイ農家では人工授粉が当たり前になっている。

扇風蜂
 10アールほどのキウイ畑を任されたことがある。以前はたくさん採れたのだが、実付きが悪く収量が少なくなって荒らしてしまったというので花の時期をカバーするひと月ほどの間、養蜂家にミツバチの箱を一つ借りきてキウイ畑に置いた。イチゴハウスには交配のための蜂の巣箱がよく置いてあり、これにヒントを得た。
 ミツバチ貸借料を払わなければならないけれど、人工授粉は手間暇かかってそれなりに大変だ。これなら巣箱をキウイ畑の横に置いておくだけであとは蜜を集める働き蜂諸君が勝手に交配してくれるだろうというわりとイージーな発想だったのだが、これがうまくいって収量が大幅にアップしたのは嬉しかった。
 ファーブルの8の字ダンスはよくわからなかったのだけれど、この時はよく蜂の巣箱ををぼんやり眺めた。天気が悪いと蜂は機嫌が悪い。巣箱の周りを人間がうろうろしていると先兵隊長のような蜂が1匹飛んできて威嚇される。からだは小さいけれど巣を守ろうとして必死だ。ある時は巣箱の前で蜂が集団で羽ばたきしている。扇風蜂といって、巣の中の温度が上がると幼虫を高温から守るため集団で協力して羽ばたきして換気扇のように巣の中の空気を排気するそうだ。
 キウイも蜂も大したもんだ。人間様もあんまりあれこれ考えを巡らさないで自然に生きて自分の仕事を全うできれば、と思う。これがなかなか難しい。