コラム

2020年7月10日号

 小暑(今年は7月7日)の節気を経て、夏本場に向かう。木々が茂り、蝉が鳴き、持て余したエネルギーを見せつけて雲が膨張する。強い陽射しは目薬のようにしみそうだ▼好き嫌い様々だろうが、四季の中で一番ダイナミックな夏の光景は、インパクトがあって、強く印象に残りやすい▼けれど近年を振り返ると、毎年、梅雨時から秋口にかけ集中豪雨や台風の大災害に見舞われてきた。今年も豪雨被害が中九州から全国各地へ拡がり痛ましいばかり▼夏が象徴する溌剌とした生命力や、バイタリティとはまた別に、暗い不安な影が混じる。この先どうなるか分からないという不安感は、コロナウイルスでも国際情勢でもそうだが、今は常にどこかで先行して現れてしまう▼しかし、決して不安な話ばかりでもない。景気のほうも7月から徐々に回復へ向かうとの見方が増えだした。今年のマクロ経済予測は各調査機関から下方修正が続いたが、それでもIMF(国際通貨基金)の最新見通しは、世界経済は4︱6月期に底を打つと伝えている▼暗いニュース、不安な事象に関心が向かってしまう心情は、同時代を生きる人間として理解できるものの、季節同様、変わり目は感じられる。ことさらの悲観は夏本番を前に脱ぎ捨てたい。またそうでないと前に進めない▼ムードは気。景気も気からという。どう変えていけるかは、一人ひとりの気持ちのなかにある。明るく強い気持ちで、自立・自律の意識で、時代に向かいたい。

(2020年7月10日号掲載)