連載

2020年7月25日号

エアロジーラボ、マニア気質が高じて第一人者に

3時間飛ぶハイブリッドドローン量産へ

 1970年代に日本で誕生したポップカルチャーの愛好者、オタク。アニメ・ゲーム・漫画などのジャンルでよく使われるが、「空飛ぶロボット」とも呼ばれるドローン(無人飛行機)にもいる。機体の設計・製造・販売・空撮を手がけるベンチャー企業、エアロジーラボ(大阪府箕面市、2012年設立)の谷紳一代表取締役CEOだ。
 ラジコンのシングルローターヘリにのめり込んだ谷社長は「誰も見たことのない空からの景色を見たい」とヘリにカメラを積んだ。マニュアルで操作するため何度も墜落させ、自動操縦しようと世界中からそのためのパーツをかき集めた。そうして10年前に完成させたマルチローターヘリで、企業からの依頼に応じてCM撮影や映画撮影を行った。中国メーカーが大量生産した機体が普及し、ドローンブームが到来したのはその後だった。
 「最先端を行っていたものが世の中で話題になった。趣味としてやっていたので事業化しようという考えは当初はなかったが、ここまでやってきたことを世の中の役に立てられるのではないかと思うようになった」
 友人を介してテレビ局から出資してもらい会社を設立したものの活動は細々としたものだった。18年9月に関西テレビからの出資を機に、急展開することとなった。エアロジーラボが今年12月に小ロット生産するのは、エンジンで発電した電気で飛ぶハイブリッドドローン「Aerorange pro」(直径約1.8m、最大積載10キログラム)。最長飛行3時間、飛行距離120キロメートルを実現する。バッテリーのみを用いた一般的な機体の航続時間は10~30分程度なのでその飛行能力は圧倒的だ。エンジンやバッテリーなど主要パーツは国産で、量産を見据えた初の準国産ハイブリッド機となる。価格は「1千万円までに抑えたい」。

来年は30台納入計画
 新社屋として一昨年8月、新聞配達所だったコンクリート打ちっぱなしのビルを借り、改装した。真っ白な直方体のビル外壁に真っ赤な会社ロゴが映える。中に入るとカーボンを削るための小型CNCフライス盤と、樹脂部品を造形するための3Dプリンターが3台ずつある。人の背丈を越える棚に収まりきらないほどの新旧の「作品」がある。
 モーター、エンジン、フライトコントローラーなどの技術をもつ企業と提携。「ベストミックスする。性能の高い建材を組み合わせていい家をつくる工務店のよう」と自社を表現する。これまでに納入したドローンは直径1~1・8㍍の3台(価格は基本仕様で1台約600万円)に過ぎないが、今年だけで10台、来年は30台の納入を計画する。
 近年は国産ドローンに人気が高まっている。カメラやセンサーを積んだドローンの多くはビッグデータを扱いインターネットに接続されるため、情報流出が懸念されるためだ。また可搬重量の大きなものも望まれる。Aerorange proは機体19キログラム、可搬10キログラムを想定(トータル25キログラムを超えると安全・耐久性などが厳しくなる)。「雨の中でも飛べ、落ちたときのガソリン漏れ対策も施している。申請する特許が盛りだくさんで、世界最高のスペックになる」と渾身の力作となりそうだ。