コラム

2020年9月10日号

 歴代最長7年8カ月の政権期間を記録した後、8月末に安倍首相が辞意を表明。すると内閣支持率が何故か大幅に上向いた。調査によって異なるが、15~30ポイント近くの上昇で、支持率は一気50~60%台に▼口の悪い向きは「辞任決断を評価したもの」というが、日本人特有の判官びいきというか、ノーサイドの精神のようとでも言うか、厳しい批判もしたが、どこかで認めていたと、国民が最後に情を込めたメッセージで気持ちよく送り出したように映る▼政権トップの座を終えた大統領の多くが悲惨な末路をたどった隣国とはいかにも好対照といえば言い過ぎだが、日本らしい現象と感じる▼さて、7年を超す安倍政権を業界専門紙として振り返ると、金融緩和、財政政策、成長戦略からなる「アベノミクス3本の矢」のうち、特に成長戦略でモノづくり業界は大きな影響を受け続けた▼ロボット新戦略(15年)、ソサエティ5・0構想(16年)、コネクテッドインダストリーズ提唱(17年)と連続して打ち出され、これらの考えに沿った産業政策を重点的に実施し、関連する補助・助成策が徹底された▼相次ぐ構想には記者としていささか辟易した記憶もあるが、一方で官邸の決定事項が民間の行動を左右する様子を目の当たりにし、トップダウンの威厳と重みを感じたものだ▼成長戦略については、多くの識者が「まだ道半ば」と指摘する。この先どう引き継がれていくのか。ここは厳しく注視していきたい。