News

シチズンマシナリー、ユーザーの現場支援リモートで

現場と技術者、デジタルでつなぐ

28745

 新型コロナウイルス感染拡大をきっかけに、現場現物主義だった工作機械業界が変わりつつある。自動旋盤メーカーのシチズンマシナリーでは、「現場支援」のリモート化を模索し始めた。
 同社は7月、軽井沢本社工場にグローバルソリューションセンターを新設した。最新技術を展示し、同社主力機26台のテストカットができる生産革新の提案の場。ここを取材した8月中旬、同社が開発を進める「フィジカルとサイバーのハイブリッド業務モデル」のデモをみせてもらった。
 「この加工プログラムで問題ないですか」。不安げに話すのは現場オペレータ役だ。主軸台移動形CNC自動旋盤「シンコムL20」の前でPC画面をのぞき込み、遠隔地のベテラン技術者役に加工プログラムを送信した。
 現場と遠隔地の技術者をつなぐのは、オンライン会議システム。共有画面上では3D加工シミュレータが実機のようなリアルな動きで、干渉などの不具合をチェックする。プログラムに補正をかけた後のテストカットでは、現場のWEBカメラやスマートグラスが映す加工機内部の動きや加工音、電子顕微鏡で見た加工後のワーク映像などもリアルタイムに共有し、技術者のアドバイスのもと、短時間で加工プログラムを最適化してみせた。

■実機と同等の再現精度
 シチズンマシナリーの顧客支援ICT推進室の松丸肇室長は「自動旋盤L20専用に開発したシミュレータなので、サイバー空間上の再現精度は、実機とほぼ同等。加工機前に数人の技術者が張り付いていた従来の働き方を変えられる」と開発に自信をみせる。
 松前室長はさらに、「検証データを蓄積すれば、将来的には類似ワークの加工プログラムを簡単に選べるナレッジベースのアプリケーションも構築できるはず。加工前のプログラム制作や工程レイアウトの検証時間を大幅に短縮でき、加工サイクルタイムの事前検証スピードも精度も飛躍的に高まる。自動盤の現場はいまだ2D図が中心で、熟練の勘と経験頼みだったが、これを高効率化できるだろう」。サービスの近未来像をこう展望した。
 遠隔支援の対象は、加工プログラム制作のみに留まらないようだ。松前室長によると「2012年から開発してきたネットワーク支援サービス『アルカプリソリューション』がベースにあります。今後は、加工技術相談や保守サービスのオンライン化のほか、蓄積した機械の稼働情報からデータサイエンティストがボトルネックを分析するなど、現場の困りごと解決をデジタル技術でサポートしたい」という。

(2020年9月10日号掲載)